交友にはカネがかかる……
「そんな事情もあって、最初の結婚は2年持たなかったです。正直、楽しかったのは結婚するまで。結婚してからはいろいろ生活も窮屈になってきて。どうにかして自由になりたいと願ったものです」
離婚後、それまで控えていたキャバクラと風俗店通いを再開させたが、やはり、残ったのはむなしさだけだった。
「社交というサービスをウリにしている世界ですからね。その場は楽しいけれど、後に残らない」
そこではたと思いついたのが、プロの女性相手ではなく、みずから交友関係を広げ、素人の女性と遊ぶことだった。
「当時は、艦艇勤務だったこともあり、艦の乗組手当が結構な金額で支給されていました。だから遊ぶ金にも、別れた子どもへの仕送り、養育費とかそういうの支払っても経済的にまだ余裕がありました。でも、ずっと艦に乗っているという訳ではないですしね」
仕事は真面目だか消極的だというヒロユキさんは、年齢と階級が上がるに従い、徐々に第一線の艦艇勤務の割合が減り、陸上勤務が増えてきた。それに伴経済的な余裕がなくなってきた。

「艦から降りてざっくり年収にして100万くらい下がりました。というか乗組手当がそれだけあったという話なのですが」
それでも陸上勤務なので、ほぼ毎日、自宅に帰られる。朝起きて職場に通い、残業がなければ夕方帰宅の途につく生活は、収入減ではあったものの、ヒロユキさんのプライベートの充実には打ってつけの環境だった。
「人と人との交友にもカネがかかります。だからカネをかけないで、どう人と交友するか、大事なのはここです」
そこでヒロユキさんはキャバクラや風俗店通い時代に鍛えたトークを武器に、みずからの周囲にいる人たち、片っ端から声をかけた。職場の同僚は言うに及ばず。通い始めたテニスサークル、英会話教室の仲間などなど、男女を問わず、交友の輪を広げた。