「統計学」で丸裸…2021年「MVP」の大谷翔平は、本当にその座にふさわしかったのか?
二刀流はセイバーメトリクスで評価できるのか?
2021年のMLB アメリカンリーグでMVP(MostValuable Player)に輝いたのは、大谷翔平(ロサンゼルス・エンゼルス)であった。
リーグのMVPは、全米野球記者協会(Baseball Writers Association of America、BBWAA)から選出された30人の記者の投票によって決まるのだが、大谷には30人すべての記者が1位票を投じ、いわゆる「満票」でMVPに選ばれたのである。

大谷の打者としての成績は、本塁打が46本で、これはブラディミール・ゲレーロJr.(トロント・ブルージェイズ)とサルバドール・ペレス(カンザスシティ・ロイヤルズ)の48本に次ぐ3位であり、OPS(Onbase Plus Slugging:打者を評価する指標)はゲレーロJr.の1.002に次ぐ .965で2位である。
ただ打率 .257はリーグ45位と凡庸であるし、打点100はリーグ13位で、打撃部門でリーグ1位となる成績はない。しかも所属するエンゼルスはシーズンを通じて一度も優勝争いに加わっておらず、リーグ西地区4位と低迷しているチームである。
そのような状況であっても、大谷が満票でのMVPを獲得したのは、チームの先発ローテーションの一員として9勝をあげるなど、投手としての功績も大きく、MLBに与
えたインプレッションがとても大きかったからだといえるだろう。
しかし、大谷はインプレッションだけでなく確実にチームの勝利に大きな貢献をしたことが、セイバーメトリクスの観点からも証明されている。この記事で後述する総合指標「WAR」(Wins Above Replacement)に基づけば、大谷がいかに他のタイトルホルダーの打者よりも価値の高い選手であるかがわかり、選出に携わる記者も実際に、それを裏づけとして投票していると考えられるのである。