NHKスペシャル「超・進化論 第1集 植物からのメッセージ ~地球を彩る驚異の世界~」は、
生命誕生から40億年のあいだに出来上がった生き物の隠れたネットワークやスーパーパワーが、最先端科学で次々と解明されている! NHKスペシャル シリーズ「超・進化論」では、5年以上の歳月をかけて植物・昆虫・微生物を取材。そこには常識を180度くつがえすような進化の原動力があった。
書籍化された『超・進化論 生命40億年 地球のルールに迫る』で、最初に紹介するのは「植物」。
私たちの地球で陸上にいる全生物の重さを足し合わせると470ギ
しかし、植物は知性とはほど遠く、人間よりもずっと下等な存在だと考えられてきた。だが、それは果たして本当なのか──。
危険に反応する植物の体内を世界で初めて可視化した、日本の研究者・豊田正嗣さんが驚きの実験を行った。植物を優しくなでるとどう応えてくれるのか。どこまで感じているのか明らかになった。
前回記事<「今、私食べられている!」植物にも動物と同じ“感覚”があった! 可視化された事実が凄すぎた!>
観葉植物は、なでると生長しないことが明らかに!?
植物は鋭敏な感覚を持っている。私たち取材班は豊田さんに提案して、こんな実験を行ってもらった。シロイヌナズナの葉っぱに毎日触れるという実験だ。1日3回、指で優しく触れるだけだが、その影響は著しいものだった。1ヵ月間触れられ続けたシロイヌナズナは、指で触れないこと以外は同じ条件で育てたシロイヌナズナと比べると、全然生長しなかったのだ。愛情を込めて優しくそっと葉を撫でれば、わが家の観葉植物も、きっとよく育つだろうと考えてきた人には残念な結果かもしれない。

触れずに育てたシロイヌナズナ(左)の生長の様子。見た目に大きな違いが出ている。(c)NHK
「私たちにも面白い結果でした。植物が触れられた瞬間にどういう反応をするか可視化する実験はしていましたが、定期的に触れて、それを1ヵ月にわたって続けるとどうなるかを確かめたことはなかったからです。
草食動物がたくさんいて踏みつけられやすい環境では、植物は食べられにくくするために防御物質を作っておく必要があります。この防御物質を体内に蓄えると生長速度が遅くなるのですが、背丈が低いと目立ちにくく有利ですし、何かの障害物にぶつかる環境でもやはり背丈を低くするのはその植物にとって有利だと考えられます。そういう環境に合わせて少しずつ形を変えていくのだろうと思います」(豊田さん)
豊田さんは、将来、植物と動物を区別する考え方はなくなるかもしれないと考えている。