2023.03.07

東日本大震災から12年…岸田政権の「復興特別所得税」の流用という姑息な増税の「超長期化」リスク

予算のブラックボックス化

今週土曜日(3月11日)、あの未曽有の被害をもたらした東日本大震災から12年という節目が到来する。

photo by gettyimages

政府はこの間、「復興特別所得税」という増税を行って財源を確保、被災地の復旧・復興・振興に努めてきたとの立場を採っている。

これに対して、会計検査院が今年2月に国会に提出した調査報告によると、それらの復興関連事業の2011年度から2020年度までの10年間の予算として44兆7478億円が確保されたにもかかわらず、実際に投入された「支出額」は38兆1711億円(予算の85.3 %相当)にとどまり、復興事業が決して迅速に行われていないことを示唆した。

そればかりか、執行不能とみなされた「不用額」は6兆1448億余円(同13.7%)、期間内に消化できなかった「繰越額」は4317億円(同0.9%)と決して小さくなく、政府の見通しの悪さを裏付けた。加えて、政府が設けた「復興特別会計」は、カネの流れの透明化と言う名目はまさに名ばかりで、予算のブラックボックス化が進み、「復興予算は政治家やお役人の使いたい放題の予算と化している」との批判も高まっている。

ところが、当の岸田政権には復興資金の使途を徹底的に解明、開示する意欲も、無駄使いの責任を問う覚悟もみられない。むしろ、同内閣は昨年暮れ、防衛力強化のために復興増税の一部を流用する方針を固め、その徴税期間を10年前後延長する方針を広言している有り様だ。

 

日本を取り巻く安全保障環境を考えれば、防衛力の強化が10年程度で終わると考えるのは楽観的過ぎるだろう。個人事業主や給与所得者を対象にそれぞれの所得税に2.1%を上乗せしている「復興特別所得税」の「令和17年(2035年)までの時限的な増税」というタガが外れ、徴税期間が超長期化したり恒久化したりするリスクが高まっている。

東日本大震災を巡る国の復興事業が肥大化した背景には、東日本大震災がそれまでの震災とは比べものにならないほど甚大な影響を及ぼした問題があった。

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