全国約8万の神社を束ねる「神社本庁」で「2人の総長の闘い」が勃発中…傘下の東京都神社庁で幹部が巨額の金銭使い込み

トップの内紛による事件複雑化

全国約8万の神社を束ねる「神社本庁」傘下の東京都神社庁で、金銭トラブルが発覚した。中堅幹部の一人が巨額の使い込みを行ったというもので、この幹部は1月17日付で「金銭上の非違行為があったので」解雇されたと公表された。

ところが、事件から1ヵ月半が経過しても全体像が見えてこない。都内の神社宮司は「早く警察に被害届を出して全容を解明すべきなのに、東京都神社庁の小野(貴嗣)庁長は『調査中』としてオープンにしない。事件を封印するつもりじゃないか」と不満を漏らす。

Photo by gettyimages
 

背景にあるのは、神社本庁の内紛だ。神社本庁では現在”2人の総長”が地位を争っている。'22年5月、神社本庁の象徴的存在で行事を担う「統理」の鷹司尚武氏は、事務方トップの「総長」として芦原高穂氏(北海道・旭川神社宮司)を指名した。しかし役員会は、'10年から総長を務める田中恆清氏(京都府・石清水八幡宮宮司)の続投を議決。芦原氏は訴訟を起こしたが、東京地裁は棄却、現在高裁で争われている。

実は今回、事件を起こした中堅幹部は、田中総長の側近、打田文博・神道政治連盟会長の親族だった。「ポスト田中」を窺う小野庁長は、田中氏に気を遣って事件を封印しようとしたのではないか、と見る関係者もいる。

「週刊現代」2023年3月11・18日合併号より

関連記事