2023.03.13

「服のタグがチクチクする」「首まわりがきつめのシャツが嫌」その症状、発達障害の人を悩ませる「感覚過敏」かもしれません

2022年12月、文部科学省は「通常学級に在籍する公立小中学生の8.8%に発達障害の可能性がある」という調査結果を発表し、大きなニュースとなりました。立ち歩きする、イライラしやすい、友達に手をあげる――ともすると「問題児」として扱われてしまう子どもたちにどのような声かけ・接し方をすればよいのでしょうか。

小嶋悠紀さんが上梓し、発売前から増刷が決まった話題の本『発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた 声かけ・接し方大全』から紹介します。小嶋さんは特別支援教育のセミナー講師として全国で活躍中の元小学校教諭。現場で実際に役立った見方、考え方やスキルだけを厳選しました(イラスト・漫画:かなしろにゃんこ。)。

記事前編【「見えすぎて脳が疲弊」「音が聞こえすぎる…」感覚過敏の人たちが過ごしているあまりに「過酷」な日常】に続き、発達障害のある子どもたちによく見られる特徴である「感覚過敏」の実態を取り上げます。

『発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた 声かけ・接し方大全 イライラ・不安・パニックを減らす100のスキル』(著:小嶋悠紀、イラスト・漫画:かなしろにゃんこ。)

肌への刺激を嫌がる「触覚過敏」

肌への刺激を嫌う子はめずらしくありません。次のマンガのように服が着られない子もいますし、他人に触れられるのをものすごくイヤがる子もいます。

『発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた 声かけ・接し方大全 』より

大人がほめるつもりで頭をなでたところ、「触るな!」と怒りだした子を見たことがありますが、きっと何か不快な刺激を感じたのでしょう。

同じ刺激でも、私たちと子どもたちでは、感じ方が違うことがあるのです。

たとえば次のような様子が見られる場合、その子には触覚過敏があるかもしれません。

・靴、靴下、首まわりがきつめのシャツなど、体に密着するタイプの服を嫌う
・服についているタグをしきりに気にする
・毎日同じものを着たがる

こういう行動が見られる子には、必ず次のような配慮が必要になります。

・無用な接触を避ける(とくに背後から体に触れるのはNG)
・サンダルなど、その子が落ち着いて過ごせる履物を探しておく
・服のタグをあらかじめ切り離しておく
・同じ素材の同じ服を複数枚用意しておく

触覚過敏については、服薬で軽減できたり、発達とともにゆるやかになったりすることが多いので、子どもが小さいときほど、ていねいに支援をしておきたいものです。

  • 『成熟とともに限りある時を生きる』ドミニック・ローホー
  • 『世界で最初に飢えるのは日本』鈴木宣弘
  • 『志望校選びの参考書』矢野耕平
  • 『魚は数をかぞえられるか』バターワース
  • 『神々の復讐』中山茂大