「見えすぎて脳が疲弊」「音が聞こえすぎる…」発達障害の人を悩ませる「感覚過敏」をご存知ですか?
2022年12月、文部科学省は「通常学級に在籍する公立小中学生の8.8%に発達障害の可能性がある」という調査結果を発表し、大きなニュースとなりました。立ち歩きする、イライラしやすい、友達に手をあげる――ともすると「問題児」として扱われてしまう子どもたちにどのような声かけ・接し方をすればよいのでしょうか。
小嶋悠紀さんが上梓し、発売前から増刷が決まった話題の本『発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた 声かけ・接し方大全』から紹介します。小嶋さんは特別支援教育のセミナー講師として全国で活躍中の元小学校教諭。現場で実際に役立った見方、考え方やスキルだけを厳選しました(イラスト・漫画:かなしろにゃんこ。)。
本記事では、発達障害のある子どもたちによく見られる特徴である「感覚過敏」の実態を取り上げます。
音が聞こえすぎる「聴覚過敏」
「聴覚過敏」とは、いろいろな音が聞こえすぎてしまう状態のことです。
定型発達の子は、耳に入ってきた音を脳がうまく取捨選択してくれるのでいいのですが、聴覚に過敏性があると、音が無差別に、ときに大音量で聞こえてしまうようです。
少し想像してみましょう。
この記事を読んでいるあなたの隣に、誰かがいるとしましょう。その人が急に大きな声で話しかけてきたら、ビックリしますよね。「何? 何?」と混乱して、これから何が起こるのか、不安にもなるでしょう。それと同じことが、発達障害の子には毎日・毎時間、起こっているのだと考えてください。
こちらに驚かせるつもりはなくても、次のイラストのように「たいしたことのない音量の音」が「大音量で急に降ってきた」ように感じてしまうこともあるのです。だから、ちょっと声かけしただけで、子どもがビクッとなってしまう場合があります。

とりわけ低学年や幼少期の子どもは、自分で大変さを訴えることができないので、聴覚に過敏性がないか、入念にチェックしてあげてください。
そして、聴覚過敏のある子には、音の聞こえにくい場所に座らせるとか、ノイズキャンセリングイヤホンを使ってもらう、などの支援を行いましょう。