2023.03.08
投資額5兆…日本の「半導体産業の復権」をかけた大プロジェクトが抱える「リスク」と「希望」
半導体産業の復権をかけた重要プロジェクト
2月28日、日本の半導体産業の復権をかけて設立されたラピダスは、北海道千歳市に工場を建設すると表明した。
投資規模は5兆円に達する見込みだ。
ラピダスは昨年8月に、国内外の有力企業や政府関係機関の協力のもと設立された。
戦略物資としての半導体の重要性は急速に高まっており、わが国の半導体産業の復権をかけた重要プロジェクトといえる。
その意味では、ラピダスはわが国産業界の重要なカギを握っているといえる。

ただ、ラピダスに関しては、明るい部分だけではなく、大きなリスクも抱えている。
現在、わが国には、最先端の半導体分野で世界的に競争力を持つメーカーは見当たらない。
ラピダスが目指す次世代半導体には、これまでと異なる新しい製造技術を必要とする。
製造技術の実装が想定通りに進まない場合、わが国の半導体産業の競争力はさらに大きく低下する恐れがある。
また、製造技術面の問題を解決したとしても、世界の半導体産業はさらに新しい分野に突入しているかもしれない。
一方、ラピダスが上手く成功を収めることができれば、わが国の経済の低迷に歯止めが掛かることも期待できるだろう。
今、危機感が高まる中、ラピダスは北海道の新しい工場の建設に取り組もうとしている。
AIなどの先端分野で本邦企業の競争力が発揮されるためにも、ラピダスは政府の支援を取り付けつつ、国内外の有力企業との連携を強化し、迅速に生産活動を軌道に乗せることが求められる。