黒い噂がある
もっとも昨今流行りの単なる美容シャワーヘッドかと思えば、そうではない。とりわけ万博関係者にとって商品のインパクトはかなり強いという。
商品名についたリボーン、つまり「生まれ変わり」とは、アンチエイジングとともに大阪パビリオンのメインテーマに据えられてきた。それを意識しているかのようなサイエンスとASメディカルグループの共同事業なのである。

サイエンス同様、ASメディカルもまた、大阪パビリオンの総合プロデューサーである大阪大学大学院医学系研究科寄附講座教授の森下竜一(60歳)が技術顧問となっている。いきおい万博関係者のあいだから「サイエンスと一緒にASメディカルも大阪パビリオンに出展するのではないか」との声が上がっている。
くだんのアンチエイジングフェアでは、万博パビリオン出展の指揮を執る森下が、これらを一生懸命宣伝していた。したがってサイエンスとASメディカルの共同出展が噂されるのも無理はない。むしろ、それは心配の声でもある。大阪パビリオン推進委員会のあるスタッフが指摘する。
「ASメディカルにはとかく怪しげな話がつきまとっています。創業者はかつて外車の窃盗で逮捕され、今も投資トラブルや胡散臭い交友が聞こえてきます。メインスポンサーのサイエンスがそこと組んでいるだけでも怪しいのに、総合プロデューサーの森下氏まですごく肩入れしている。万博との関係が気になります」
あながちそれも杞憂とはいえない。
〈かねてより準備してまいりました「再生医療抗加齢研究会」がこのたび設立の運びとなりました。これもひとえに皆様方のご支援によるものと心より感謝申し上げます。つきましてはご支援くださいました皆様をお招きして設立披露の発足会を下記のとおり催したいと存じます〉
そう記されたメールが一般社団法人「日本抗加齢医学会」所属の医師に届いたのは、今年1月25日のことだった。同学会およびNPO法人「日本抗加齢協会」は大阪パビリオンの出展に関する中心的な役割を担う。大阪府市の設置した大阪パビリオン推進委員会のアドバイザリーボードメンバーの多くが、学会や協会の所属医師たちだ。

そして、くだんのメールの差出人が〈大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学寄附講座教授 森下竜一〉だ。万博総合プロデューサーの森下は、抗加齢医学会と協会のナンバー2の副理事長でもある。
メールは、学会の分科会として立ち上げた「再生医療抗加齢研究会」の発足会への案内にほかならない。さらに、そのメールの問い合わせ先〈再生医療抗加齢研究会事務局〉担当者としてASメディカルの役員の氏名が記されている。つまり事務局を担っているのがASメディカルなのである。
メールによれば、オープニングの演題として日本抗加齢医学会理事長の山田秀和による「再生医療による皮膚のアンチエイジング(仮)」や、北里大学形成外科・美容外科客員教授の大慈弥裕之による「美容分野における再生医療の可能性(仮)」が予定されていた。最後が森下の「再生医療による慢性疾患のアンチエイジング(仮)」だ。以下が実際の講演の様子である。