ちなみに、負けて泣くのを止めなかったというユニークな逸話もある。
「床にひっくり返るほどの泣き虫だった藤井さんを、お母さんは気が済むまで泣かせたそうです。そのうち冷静になり、自分の頭で考え始める」(将棋ライター)
期待はしすぎない
たとえ、世間的に正しいとされている「常識的な育て方」であっても、自分の子供に適しているかどうかを冷静に見極め、合わないことは取り入れないというのも特徴だ。
五輪の体操で個人総合2連覇を含む7つのメダルを獲得した内村航平(34歳)の場合、両親は偏食を止めなかった。
内村が強烈な「偏食家」であることはよく知られている。大好物はチョコレート菓子のブラックサンダー。食事は一日1食で、600gの肉をペロリと平らげる。ほとんどの野菜は嫌いだ。

誰から見ても心配になる食生活だが、母・周子さんは、息子の好き嫌いに干渉しなかった。
「内村選手は幼少時からアトピーがひどく、周子さんは『生きてさえいてくれればそれで十分』という心構えでいたそうです。だから、元気にしているかぎり、食べ物の好き嫌いを叱らなかった。本人も好きなときに好きなものを食べることで、気持ちが乗って練習に集中できたと語っています」(スポーツ紙記者)
内村家の子育てにおける、もうひとつ印象的な点が、子供に親の大きな期待をかけないことだ。