周子さんと対談したことのある教育評論家の尾木直樹氏が語る。
「周子ママは『期待のキという文字は、息子に嫌われるのキと同じだ』と言っていました。期待するから、望んだような結果が出ないと『裏切られた』と怒ってしまう。でも、勝手に期待された子供からしたら、たまったものではありません」
東京五輪の水泳個人メドレーで2冠を達成した大橋悠依(27歳)も、期待という重圧をかけない両親のもとで育った。
「水泳は、たまたま娘が選んだから応援するけれど、『やめたくなったら仕方ない』というスタンスだった。大学2年のとき、大橋が極度の貧血に陥り『水泳をやめるかもしれない』と相談したときも、ご両親はあっさりと『じゃあ、実家に戻ってくる?』と答えた。『もったいない』というプレッシャーは、一切かけなかったそうです」(スポーツライターの折山淑美氏)

子供がやめたいと言い出したら反対しないのは、超一流を育てた両親たちの大きな特徴だ。
日本人初の全米オープン決勝進出者・錦織圭(33歳)は、島根県のごく普通の家庭に生まれた。
だが、父・清志さんは、2歳で水泳、3歳でピアノ、5歳でサッカーとテニス、小学1年生で野球と、息子が「やりたい」と言えば何でもやらせた。大体は長続きしないのだが、錦織が「やめたい」と言い出したら、叱らずスパッとやめさせた。
そのなかで、唯一熱心に続けたのがテニスだった。才能の芽が出て、中学生にして奨学金でアメリカに留学する権利を手にする。
義務教育の半ばで海外に留学するのは、その後の進学などに支障をきたす恐れがある。だが、清志さんは迷わなかった。