2023.03.25
「ウイスキー」を「水割り」で飲むのは正しくない? ウイスキーの疑問とその「意外な答え」
「ハイボール」「マッサン」のブームに沸いたジャパニーズウイスキーは、いま世界でトップランクの評価を得ている。そのまろやかな香味が「熟成」によって生まれるまでに「樽」という小宇宙の中では何が起きているのか? 人智の及ばない摩訶不思議な現象に、人智の限りを尽くして挑んだ研究の最新成果を満載して贈る、知れば知るほど旨くなるウイスキーの香りと味の科学!
*本記事は『最新 ウイスキーの科学 熟成の香味を生む驚きのプロセス』(ブルーバックス)から抜粋・再編集してきます。
*本記事は『最新 ウイスキーの科学 熟成の香味を生む驚きのプロセス』(ブルーバックス)から抜粋・再編集してきます。

「水割り」は正しい飲み方ではない?
非常に長い間、樽で貯蔵してできたウイスキーを、ほかのものを混ぜて飲むというのはあまりにもったいない、というのが私の素直な感覚だけれど、近頃では、飲み方について過度にこだわるのはよくないのかな、とも思っている。ブレンダーがウイスキーを評価するときも、水で1対1に割って評価している。「トゥワイス・アップ」と呼ばれる飲み方で、香りの広がり方を感じるにはそれがよいのだそうだ。長い時間をかけてつくられた熟成状態が、新しい条件で花開く、その「変化」を楽しむのも味わい方の一つだな、と感じている次第である。料理の場合でもわれわれは、食べ進むにつれて温度や成分や姿形が変化していくのを楽しんでもいるのだから。
たまには氷を入れた水でなく、常温の水で割ってみるのも面白い。意外にも、多彩な香りが楽しめる。