2023.03.23
「ケガで階段が登れない」妻をお姫様抱っこして…59歳男性が心底後悔した「エレベーターなしマンション」の大誤算
いまの60代は、気力・体力ともに充実したアクティブシニアが多い。趣味や再就職など社会的活動をする一方で、そろそろ老後はどこに住むのが望ましいのか、所有している住宅はどうしたらいいのか、といろいろと模索しはじめる人も多いのではないだろうか。
「高齢」と「高経年マンション」に立ち向かうさまざまな事例と、そこから「わかること」を解説した、『60歳からのマンション学』から、きっとあなたの役に立つ事例を紹介します。
事例:けがをきっかけにマンションが「負動産」に!?
「負動産」になりやすい物件の特徴として、「エレベーターがないマンション」があげられる。年老いたりケガをしたりすると、エレベーターなしでの生活は苦しく、売却しようとしても買い手がつかない。快適な住まいのはずが、ケガをきっかけに負動産に巻き込まれることになる……。

妻の骨折から地獄が始まった
駅から少し離れたマンションに住む、田川衛さん(仮名)は、40代の時に妻の清子さんと出逢い結婚した。生涯独身かと思っていたが、人生の伴侶に巡り合えたことは、この上ない喜びであった。
6歳年上でしっかり者の清子さんは、若い頃に親のすすめで結婚したそうだがすぐに離婚。一人で生きていかなければと、35歳の時にいま夫婦で住んでいるマンションを新築で購入した。結婚後は清子さんが所有する分譲マンションに衛さんが転がり込んだようなかっこうで、このマンションでの夫婦二人での生活も15年を超えた。
しかし半年ほど前、清子さんが家の中で転倒し左大腿骨近位部を骨折してしまった。骨折の治療は、手術療法と手術によらない保存療法があったが、清子さんがどうしても手術は避けたいと言うので保存療法を選択した。保存療法の場合、骨折部位が癒合するまで数ヵ月間の安静が必要とのことで、年齢も考慮し入院することになった。