2023.03.23

「内見どころか、問い合わせすら来ない…」59歳男性が絶望した…エレベーター無しマンションの「売却地獄」

いまの60代は、気力・体力ともに充実したアクティブシニアが多い。趣味や再就職など社会的活動をする一方で、そろそろ老後はどこに住むのが望ましいのか、所有している住宅はどうしたらいいのか、といろいろと模索しはじめる人も多いのではないだろうか。

「高齢」と「高経年マンション」に立ち向かうさまざまな事例と、そこから「わかること」を解説した、『60歳からのマンション学』から、きっとあなたの役に立つ事例を紹介します。

なかなか売れない自宅マンション

清子さんがこのマンションを買った時、1階2階は防犯上怖いとの思いがあり、3階ならと思った。むしろエレベーターがないことで価格が安かったのも魅力的だったそうだ。マンションが建った当初は、周辺は戸建てが多くマンションのほうが珍しかった。しかし、30年の間に最寄り駅が再開発され、最寄り駅直結のタワーマンションが建ったり、駅近くに築浅のマンションがたくさん建築されたりした。

不動産屋から広告の反響がイマイチだという報告が届く。どれだけ安くても駅から遠いうえ、いまどきエレベーターがないマンションを好んで買う人は少ないのだろうか。

売却に出してからもう半年。2回も値引きしたがいまだに売れない。内見どころか問い合わせすらないという。このようなマンションを負動産というのか。

清子さんのことを考えるとなるべく早くエレベーターがあり、フラットな室内の物件に引っ越ししたい。それに早く決断しないと、住宅ローンを組める年齢がどんどん短くなってしまう。結局、新しいマンションを衛さん名義で先に購入し、ありったけの貯金を入れて住宅ローンを組んだ。借入時の衛さんの年齢は59歳、完済時年齢は80歳になる。

  • 『成熟とともに限りある時を生きる』ドミニック・ローホー
  • 『世界で最初に飢えるのは日本』鈴木宣弘
  • 『志望校選びの参考書』矢野耕平
  • 『魚は数をかぞえられるか』バターワース
  • 『神々の復讐』中山茂大