新年度を間近に控えた今、入園先は決まりホッとしたのもつかの間、新生活の準備に追われている保護者も少なくない。そんな中、園バス置き去り事故や、園内虐待事件など、保育に関するイヤなニュースが近年あとを絶たず、「園選び」に不安を抱える親たちも多いのではないだろうか。

今回、Yahoo!ニュースの協力を得て、子どもがいる家庭を対象に、国内在住の子どもを持つ男女2000人に、「保活」に関するアンケートを実施した(2022年12月)。また、アンケート結果をもとに、Yahoo!ニュース個人のオーサーでもあり、保育の実情について詳しいジャーナリストで、現在は幼稚園・保育園の副園長もしている猪熊弘子さんに取材し、最新の「保活」事情をはじめ、保育園にまつわる様々な問題について、詳しく話をうかがった。

そもそも「保活」って何?

まず最初に「保活」とは何か、ということだが、ここでは“自治体が定める認可保育所に入れるように活動すること”とする。そのうえで「保活」に関するアンケートでは【Q:保活での悩みは何ですか?】という質問を投げかけた。これに対する答えは以下の通りである(下記グラフ参照)。

『保活予定の方に聞いた、保活における悩み』Yahoo!ニュースを通じて実施したアンケート

悩みの1位は「そもそも保活でなにをしたらいいのかわからない」。実に約半数ともいえる40%以上の人が、保活に対し、漠然とした不安を抱えていることがわかる。

今回取材した、保育の実情について詳しいジャーナリストの猪熊弘子さんはこう語る。

「本来、保活はしなくてよいもののはず、なんです。保育園は児童福祉法24条という法律に基づいて運営されているので、本来、自治体は希望者を全て受け入れなければならないはず、なんです。でも地域によって状況は違いますが、認可保育所や保育者の数も限られていて、希望する保護者の子ども全てが希望する園に預けられない、というのが現実。そのため児童福祉法24条にもいろいろとエクスキューズがついています。だから、残念なことに「保活」をするのが一般的になってしまったんです。最近では不適切な保育などの報道も相次ぎ、「保活」に不安を抱えていらっしゃる方も多いと思うので、何に注意をして園を見定めるべきか、改めて保育園選びをする上でのポイントをお伝えしたいと思います。

 

具体的に「保活」で最初に起こすべきアクションは、自治体が定めている“入園の申し込みスケジュール”を、確実に把握することです。保育園は、学校や会社の年度始まりと一緒で“4月入園”が最も枠が大きく、入りやすいのです。地域差はありますが、だいたい10月~12月(第一次締め切り)頃に入園申し込みの受付期間を設けている場合が多いので、自分の住んでいる自治体のスケジュールを確認しておきましょう。申し込み期間を逃すと、二次募集、三次募集と枠が少なくなり、希望する時期に保育園に入れなくなってしまうので注意が必要です」

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まだ出産前の場合でも、出来る事はあるのだろうか。

「日本では、出産後でないと正式な入園申請は出来ません。ただし妊娠中に情報を集めておくことは出来るはず。妊婦のうちから準備をする場合は、自治体の窓口や地域の子育てコミュニティなどで話を聞くなどして、自分や子どもにとってベストな園はどこなのか探すのもいいでしょう。今はインターネットが普及しているので、ついネットの情報に頼りがちですが、匿名の情報だけでは不十分です。地域の細かな情報はネットに載ってないことも多く、検索時に自分に都合の良い耳障りの良い情報ばかりを集めてしまうこともあるので、注意が必要です。また、赤ちゃんが生まれてみると、産前には『ここまでなら通える』と思っていたのに、赤ちゃんを連れて毎日送迎するとなると『ここまで通うのは現実的に難しい』など、生活の中で気づくことも出てきます。園に預けられる年齢(月齢)は園によって異なるので、4月時点での子どもの年齢(乳児の場合は月齢)も確認しておく必要がありますね」