「渡哲也の弟」というレッテルを背負って生きてきた渡瀬恒彦が大切にした「たったひとつの大事なこと」
人生が変わる365日の名言渡瀬は「大スター渡哲也の弟」というレッテルに苦しんだ時期があった。
積極的にヤクザ、不良、アウトローの役に体当たりで挑んだのも、役者として兄と違う道を進むためだった。

俳優の井上茂は、渡瀬が面倒を見ていた脇役や斬られ役の役者集団「ピラニア軍団」で世話になっていたことがある。
「私もタレントのゆうき哲也の弟なので、そう自己紹介すると、渡瀬さんは『それは、違う。あなたは誰かの弟ではなく、あなた自身でしょ』と諭してくれた」
誰かの弟という看板をいつまでもつけていたら、仕事も中途半端になる。そう教えてくれたのだ。
「ピラニア軍団はいつも渡瀬さんのマンションに集まって、飲んだり食べたりしていましたね。
酔っぱらって喧嘩が始まることもしょっちゅうだった。
渡瀬さんはひとり静かに飲んでいるのですが、いよいよ殴り合いそうになると『どっちが悪いんだ! 筋を通してはっきりせえ』と間を取り持ってくれました」
絶妙のタイミングで筋を通させる。
兄貴や誰かのせいにしないで、自分の人生は自分で背負え。それが人生において「筋を通す」ということだろう--そんな渡瀬の声が聞こえる。
〈前書きより〉
本書は、『週刊現代』に掲載された多くの方々のインタビューや特集記事から、印象的な言葉を選りすぐった、日めくりの名言集です。
名言といっても、古典的な格言集に出てくるような大仰な言葉ばかりではありません。なかには「ボケ、ヘタクソ」「黙って食え」など、いったいどこが名言なんだと戸惑われるような言葉もふくまれています。
しかし、それらの言葉は誰かが発したものです。それも芸能や芸術、スポーツ、政治や経済の世界で誰もが目を見張るような活躍をした人たちの言葉です。
それらの言葉の向こう側には、人生があります。
そして、努力や成功、喜びや悲しみ、悔しさ、愛情、無常感といった人生を構成する大切なものが渦巻いている。
どんな言葉も、それ自体ではたいした意味は持ちません。言葉を発した人の経験と生き様があって初めて輝くのです。
この本をめくれば、たくさんの人々の生き様のエッセンスを「つまみ食い」することができます。
一日にひとり、ひとこと――365日、つまみ食いを続けたあかつきには、きっとあなたの人生が美しく素敵な色合いに変わっていることでしょう。