完全に消去することは難しい
ひめのさんはその後、店を卒業した。卒業、就職までの間、残り少ない学生生活を送っていたが、働いていたいから風俗店から予期せぬ電話が来た。内容は『Kさんがお前が戻ってこないと、ネットに動画をバラまくぞと店を脅している。ひとまず対応するけど、一度、ばら撒かれたら手の打ちようがない』というものだった。彼女は血の気が引いていく感覚を覚えたという。

「結局、店側の対応もむなしく、動画はネット上のあるサイトにアップロードされてしまいました。モザイク処理はされていますが、動画には〈23歳 素人 ○○店勤務 ひめの〉と生々しいタイトルが付けられていました。いくら顔を隠しているとはいえ、見る人が見れば私と分かってしまいます。いま、警察や弁護士に対応を相談していますが、やっぱり完全に動画を削除するのは難しいと言われました。
風俗嬢になったのは生活のためでした。最初はもちろん後ろめたかったけど、後悔はしていません。でも、私はこれから真っ当に生きようとしていたんです。その矢先にこんなことになってしまうとは…。いつどこで知人や就職予定の会社に知れてしまうのか不安で仕方がありません。動画が出て以来、精神状態も悪化して不眠症になってしまいました…」
女性の人生を狂わすリベンジポルノは新たな道を歩み始めようとしたひめのさんの心に大きな傷跡残してしまった――。
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