「最近、血圧が高くなってきた」「運動しても昔みたいに痩せない」――体調や体型に悩みを抱える中高年は実に多い。かつてのような健康で若々しい体を手に入れるにはどうすれば良いのだろうか。
そんな疑問に答えてくれる1冊が『50歳からの科学的「筋肉トレーニング」』だ。中高年の体の中で起こっている変化などを解説し、科学的な根拠に基づいたトレーニング方法を一挙紹介している。本稿では、そんな“中高年必携”の1冊の中から、自宅でできるトレーニング方法を披露する。
(※本稿はフィンク・ジュリウス『50歳からの科学的「筋肉トレーニング」』を一部再編集の上、紹介しています)
筋肉に「ストレス」を与える!
第一に理解してほしいことは、筋肉を付けるためのウエイト・トレーニングはウエイトを動かすのが目的ではなく、「筋肉を収縮させて、筋肉に負荷やストレスをかけることが目的」だということです。
重さは二の次です。手に持っているウエイトを、場所Aから場所Bに移動させるのが目的ではありません。ウエイトを使っていかに筋肉に新しいストレスを与えられるかが重要です。言い換えれば、動作を楽にする方法ではなく、敢えてハードにする方法を探しましょう。
ベンチプレスを例にします。胸にバーをリバウンドさせ動作を速く行うと、かなりの重量を扱えます。しかし胸筋の反動で負荷が減り、胸筋への刺激が少なくなります。反対に、より軽量なウエイトでも、バーをゆっくりコントロールしながら動作させると、胸筋に負荷が十分にかかり、胸筋が大きくなります。
パワーリフターとボディビルダーを比べてみましょう。パワーリフターはできるだけ重い重量を動かせばよく、ボディビルダーは筋肉を大きくするトレーニングをします。その効果は一目瞭然です。パワーリフターの筋肉は強いですが、それほど発達していません。
一方、ボディビルダーは筋肉が非常に発達していますが、筋力はパワーリフターほどはありません。そのため、筋肉を大きくしたい場合は、プライドなど捨てて、筋肉にしっかり刺激を与えられる重量で行いましょう。重いウエイトで早く筋肉を付けようとすると、怪我をしたりフォームを崩したりするだけですから、地道に適切なウエイトで着実に大きくしましょう。

最初に覚えておきたいトレーニングの種目
これから最初に覚えていただきたい種目を紹介します。これらさえ覚えてしまえば、全身のだいたいの筋群を鍛えられます。もちろん、上級者になれば別の種目を追加したり、種目をカスタマイズしたりするのも可能です。中高年の場合は若い頃に比べてより怪我をしやすくなっているので、フリーウエイトを行う際は特にフォームに注意を払いましょう。