ホルモンの変化が健康に与える影響は?
何をしても楽しくない。エネルギーがない。性欲もない。最近、このように感じたことはありませんか?
これは体内で分泌されるホルモンの変化が原因です。女性の更年期とそれによる更年期障害はよく知られていますが、同様に男性にも更年期はあります。どちらの更年期も性ホルモン、女性の場合は主に女性ホルモン(エストロゲン)、男性の場合は主に男性ホルモン(テストステロン)の減少、つまり性腺機能の低下によって起こります。
テストステロンの減少は、生殖能力の低下のみならず、いわゆるメタボリック症候群になりやすくなるほか、心血管疾患、体脂肪、糖代謝、脂質代謝などのリスクを増加させ、精神面にも影響を及ぼします。
そもそもテストステロンは、なぜ「男性ホルモン」と呼ばれるのでしょうか? テストステロンが男性にとっていかに大切なホルモンかを知るために、テストステロンが不足する病気(性腺機能低下症)を見てみましょう。
性腺機能低下症は、男性の成長・発達などに重要な役割を果たすテストステロンが十分に産生されない状態を指します。性腺機能低下症は生まれつき、または病気、怪我、それ以外にも加齢や生活習慣によって発症する疾患です。症状は、胎児の場合は男性生殖器の未発達、思春期の場合は筋肉量、声、体毛や性器の発達の遅れがあります。成人の場合は、性欲やエネルギーの低下、うつ病が発症の初期の兆候として見られます。
症状がさらに進むと、ED、不妊、体毛や筋肉量の低下、女性化乳房、骨粗しょう症、代謝機能障害などに拡大する可能性もあり得ます。テストステロンは非常に強力なホルモンであり、男性の健康に大きな影響を与えます。しかし、テストステロンは一般的に健康診断などでは検査項目に含まれておらず、患者本人の症状説明と専門の医師がいない限り、性腺機能低下症と診断することが困難です。

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性腺機能低下症は男性のQOLを大幅に低下させます。性腺機能低下症特有の症状以外にも、低テストステロンによって肥満、2型糖尿病や循環器の障害につながる可能性もあるため、早期の診断と治療が重要です。近年では様々な治療薬が開発され、ほとんどの患者の性腺機能低下症を治療できるようになりました。