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低体重で生まれた娘が3歳のとき震災…親子支援を続ける福島の母の葛藤と行動
2023.03.11

『すずめの戸締まり』に重なる福島のママ 前編

低体重で生まれた娘が3歳のとき震災…親子支援を続ける福島の母の葛藤と行動

低体重で生まれた娘が3歳のとき震災…親子支援を続ける福島の母の葛藤と行動 658グラムで誕生したお嬢さんと斎藤さん。NICUにて 写真提供/斎藤真智子 画像ギャラリーを見る→

新海誠監督のアニメ映画『すずめの戸締まり』は第73回ベルリン国際映画祭コンペティション部門に正式出品され、3.11を前に世界各地で上映が決まっている。『君の名は。』『天気の子』に続く天災の物語だが、今回は実際にあった東日本大震災で母を亡くした女子・すずめが主人公。筆者が小学生の娘の希望で見に行くと、取材した東北の方たちが浮かび、親としても切なく涙が止まらなかった。災いを封じる閉じ師(声はSixTONESの松村北斗さん)や様々な人に出会って成長していくすずめの姿と美しい映像、RADWIMPSの音楽が相まって、号泣する若い観客が目立った。

傷ついてもしなやかに立ち上がる主人公に、福島市で子ども食堂やひとり親支援の活動を続ける斎藤真智子さん(46)親子の姿が重なった。658グラムで生まれた長女(15)と共に、震災後とコロナ禍を生き抜く斎藤さんの歩みを紹介する。

親類もいない福島で658グラムの娘と

筆者が斎藤さんに出会ったのは、コロナ感染予防のため突然の休校になって、混乱していた2020年3月。小学生の子を持ちワンオペ育児をする筆者は、子どもの居場所や食の支援を取材する中で、斎藤さんの子ども食堂「子どもカフェたまご」を知り、電話取材した。3.11を体験した母である斎藤さんは2020年3月11日、休校で孤立する親子のために、お弁当配布をスタート。以来、コロナ前のように集まって勉強したりご飯を食べたりはできないが、毎月のお弁当配布やミニイベントで、地元の家庭とつながりを維持してきた。

食に困る家庭や子どもたちに向けたお弁当を…写真提供/斎藤真智子

その後、斎藤さんはNICU(新生児集中治療室)に入った子の親の会「Nくらぶ」でも活動することを知った。筆者が新聞記者として福島に赴任していた二十数年前、Nくらぶ創設時のメンバーに取材してお付き合いがあり、ご縁がつながったことに驚いた。

岩手県出身の斎藤さんは、福島の短大に進み、飲食の仕事をしていた。長女は658グラムで生まれ、福島の大学病院にあるNICUで、5ヵ月を過ごした。保育器に入った我が子に「生きてほしい」と願い、搾乳して届ける毎日。退院後は、仕事しながらのワンオペ育児で、近くに親類もいない。震災をはさんで6年間、地元の託児支援団体「すけっとくらぶ」を利用して助けられた。保育士や看護師といった専門職や子育て経験者が、ボランティア価格で長女を見てくれた。恩返しのため、今は支える側としてすけっとくらぶに参加し、低体重児や双子の家庭をサポートしている。

Nくらぶには長女が小学生になる頃に入り、現在は運営委員を務める。他に、市の委託で養育支援の家庭訪問もする。体が小さかった娘に何とか食べてほしいと、飾り巻き寿司や、あん・バタークリームのフラワー作りを学び、その講師も続けている。

体が小さい娘が食べたくなるように、飾り巻き寿司やあん・バタークリームのフラワー作りを学んだ 写真提供/斎藤真智子
斎藤さんが作った飾り巻き寿司 写真提供/斎藤真智子
色鮮やかなバタークリームが美しい 写真提供/斎藤真智子

「助けられたから、助けたい。自分が辛かったから、同じような親子を支援したいと、様々な活動に参加したり、立ち上げたりしてきました。産後すぐにNくらぶに入れば、同じ立場のお母さんたちに支えてもらえたと思う。当時は、わけあってワンオペ育児だったので、引け目を感じて入れなくて……。毎月、成長のフォローアップのため大学病院に通っていたので、相談は病院の先生にしていました」

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