2023.03.12
「日本の天皇」に“最高勲章”を贈るとき、イギリスの王子が「緊張のあまり」やってしまったこと
「宮廷外交」のワンシーン
日本の皇室は、現在、「安定的な継続」の問題が大きな注目を集めるなど、ある意味で「岐路」に立っていると言えるかもしれません。
日本の市民も、皇室や天皇についてより深く知っておくべきタイミングが来ているようにも見えますが、そうしたときに一つ参考になるのは、過去の天皇たちがどのような在り方をしていたか、という記録や記憶です。
とりわけ、実際に天皇家に仕えた人たちによる記録や記憶は、皇室について考える際にさまざまなヒントをくれそうです。
そうした「天皇家の素顔」に迫る書籍として代表的なものに、坊城俊良『宮中五十年』があります。
著者の坊城氏は、学習院在学中の明治35(1902)年、数え年で10歳のころに宮中に召し出され、「侍従職出仕」という役職につき、明治天皇に奉仕しました。その後、大正天皇や、その妻・貞明皇后(節子〔さだこ〕皇太后)にも仕え、50年にわたって宮中に奉仕した、宮中の生き字引きのような人物です。
本書が明治天皇について描き出すパートでとりわけ印象的なのは、明治天皇がイギリスからの勲章の贈進されたときのエピソードです。いわゆる「宮廷外交」のワンシーンが垣間見えます。

日露戦争後の1906年、明治天皇は、同盟国であるイギリスから、最高勲章である「ガーター勲章」という勲章を贈られます。