2023.03.13

「ジョブ型雇用」への転換で、安倍元首相すら断念した「主要政策」に岸田首相は踏み込めるか

転換方向で検討を始めた

政府・自民党が日本企業の雇用制度をいわゆる「ジョブ型」に転換する方向で検討を始めた。

by Gettyimages

岸田文雄首相が就任以来掲げている「新しい資本主義」の柱として2022年6月にまとめた「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」では、働き手の「リ・スキリング」つまり、スキルアップを通じて、より給与の高い産業や企業への「労働移動」を促進することを打ち出した。

世界的な物価上昇が続く中で日本にもインフレの波が押し寄せつつあるが、岸田首相はインフレ率を上回る「構造的な賃上げ」を標榜している。そのカギを握るのがこのリ・スキリングによる労働移動というわけだ。

 

従来、日本の伝統的な企業では、新卒社員を採用したのち、終身雇用を前提に、適性に合わせて部署を異動させていく雇用制度が取られてきた。いわゆる「メンバーシップ型雇用」で、一度正社員になれば、よほどのことがない限り、解雇されることはない。雇用は保証される一方、給与は職務に応じて支払われるというよりも年齢や勤務年数で決まる。

欧米では職種やポストごとに採用する「ジョブ型」のため、若くても高い給与が支払われる傾向がある。日本もそうした「ジョブ型」雇用に変えていくことで、給与水準を引き上げていこうというわけだ。

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