2023.03.27
# 細胞 # 遺伝子

環境に適応してきた「昆虫」。そのカギは3億年前の“完全変態”にあった!

超・進化論(13)

生命誕生から40億年のあいだに出来上がった生き物の隠れたネットワークやスーパーパワーが、最先端科学で次々と解明されている! NHKスペシャル シリーズ「超・進化論」では、5年以上の歳月をかけて植物・昆虫・微生物を取材。そこには常識を180度くつがえすような進化の原動力があった。
書籍化された『超・進化論 生命40億年 地球のルールに迫る』書籍化された『超・進化論 生命40億年 地球のルールに迫る』で、「昆虫」の謎が解き明かされる。
私たち取材班が注目したのは、昆虫の驚異的な適応能力。彼らはさまざまな能力を身につけ、地球上のあらゆる場所に適応してきた。今回、昆虫の8割がまるで別な生き物のように、幼虫からサナギ、成虫へと「完全変態」する一部始終とその目的を解説する。
【昆虫編第1回】<
鳥も飛行機も敵わない! あたり前のように飛ぶ、昆虫の飛び方は“超ハイテク”&“型破り”!​>はこちらから。
*NHKスペシャル「超・進化論 第1集 植物からのメッセージ ~地球を彩る驚異の世界~」は、第64回科学技術映像祭において内閣総理大臣賞(自然・くらし部門)を受賞!

「完全変態」で昆虫の8割は姿形をまったく変える

昆虫が適応したのはもちろん空だけではない。その生息地は、草むら、花畑、森などありとあらゆる環境に広がっている。

たとえばたった1本の草花を見ても、花には、蜜を吸うチョウやハチ、花粉を食べるハナアブやハナムグリがいるし、葉には葉を食べるハムシやバッタの仲間、茎には汁を吸うアブラムシ、そのアブラムシを食べるテントウムシ、アブラムシから汁をもらうアリ、アブラムシやテントウムシに寄生するハチ、それらを狙うカマキリなど、実に多種多様な昆虫が適応している。

成虫になると硬い「鎧」を身にまとう甲虫のカブトムシ。(c)NHK

硬い「鎧」を身にまとった甲虫は、さらに多種だ。森に暮らしているものだけでも、樹液を飲むカブトムシやクワガタムシ、葉を食べるコガネムシ、幹を削って食べるカミキリムシ、実に穴を開けて食べるゾウムシ……。水辺に目を転じると、水の中のゲンゴロウ、水面のミズスマシ、水際を飛ぶホタル……。例を挙げればきりがないほど、昆虫は地球のあらゆる環境で生きている。

自分の居場所を求め、生息地を広げてきた昆虫。彼らが環境に適応する上で、最も革命的な進化が、短いあいだにまるで別の生き物のように姿形を変える「完全変態」だ。

  • 『成熟とともに限りある時を生きる』ドミニック・ローホー
  • 『世界で最初に飢えるのは日本』鈴木宣弘
  • 『志望校選びの参考書』矢野耕平
  • 『魚は数をかぞえられるか』バターワース
  • 『神々の復讐』中山茂大