国民的女優・泉ピン子さんの連載第11回目。人生相談や時節を感じさせるテーマなどをピン子さん流のユーモアを交えながら、ざっくばらんに語っていただきます。「人生、いい日もあれば悪い日もある」とピン子さん。豊富な経験に裏打ちされた人生トークに心の底から共感すること必至です。今回のテーマは泉ピン子さんが「結婚について思うこと」。大先輩女優の結婚エピソードやご自身の結婚観について、前後編でお届けします。
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玉の輿なんてファンタジー
最近、「生涯未婚率」なんて言葉がしょっちゅう話題になりますよね。ニュースを聞いていると、「経済が不安定だから」とか「将来に希望を見出せないから結婚しない若者が増えている!」とか、世間は何かと結婚のメリット・デメリットを語りがちだけど、そういうコメントを聞くにつけ、私は、「なんか違うんじゃない?」なんて思う。結婚なんて、したい人は何がなんでもするだろうし、したくない人は(たぶん)「別にどうでもいい」って感じなんじゃないのかなって。
昔と違って今の女性は、「絶対に結婚はするべき!」という世間からのプレッシャーから解放されつつあって、自分の人生の選択肢が増えていますよね。昔だったら、「玉の輿」なんて言葉があって、「お金持ちと結婚すれば働かなくても贅沢できる」みたいなことに憧れていた人もいるかもしれない。でもね、この情報社会で、あとは日本経済の停滞も影響しているとは思うけど、「玉の輿」なんてものは結局ファンタジーでしかないと私は思います。

私が、テレビの仕事を始めるようになったのは70年代ですが、芸能界の面白いところは、当時から、テレビに出ているうちの半分は女が占めていたってこと。元々芸能界は、女が働く需要がある場所だったのです。紅白歌合戦だって“紅組”“白組”でしょう? テレビじゃなくて芝居やショーでも、日本には男が中心の歌舞伎の他に、宝塚や松竹歌劇団なんかもあって。昔から女流作家も少なくなかった。まぁ、ニュース番組なんかでメインを張る女性はなかなか出てこなかったけど、とにかく、私が芸能の仕事を始めてからは、会う女性会う女性みんな自分の仕事を持っていたから、今から半世紀前のいわゆる高度成長期でも、「玉の輿に乗りたい!」なんて言ってる人は、周りには誰もいませんでした。