最後に、なぜ腕を直角に曲げ、前後に大きく振るのかだが、それは歩行中の体の軸が回転しないように補償するためだ。たとえば、左足を大きく前に踏み出し、右足が後ろに残った場合、それと逆に、左腕を後ろ、右腕を前に振ることで、腰の回転が最小限に抑えられる。これによって、腰に負担を掛けることなく、安定して大股で歩くことができるのだ。
このように、インターバル速歩のフォームは、「ややきつい」と感じる早足を長時間、安全に実施するための工夫なのだ。
余談だが「このような歩き方って、他人から見てどうなの」と奇異な目で見られることを不安に思われる方も心配ご無用だ。颯爽としていて10歳ぐらい若返って見られること請け合いである。
2011年、インターバル速歩は「The New York Times Magazine」で紹介され、それが朝日新聞のGlobeに翻訳記事として掲載された。そのとき翻訳を担当したニューヨーク在住の女性が「ニューヨーカーはいつもインターバル速歩をしている。彼らはダラダラ歩きをしない。歩くときは早足、そして、ブロックごとに信号で立ち止まる。それは、まさにインターバル速歩みたいだ」と記事の感想を述べていた。
これを読んだとき私は、かつて留学中にマンハッタンのビジネス街で見たミンクのコートを着てスニーカーを履いてショルダーバッグを肩からタスキ掛けにして闊歩する米国女性の姿を思い出した。このような女性が増えれば日本はもっと元気になると思う。