「世話焼きおばさん」AIにはうんざり、デジタル押し売りに法的規制を

AIは人間のために存在することを忘れるな

「デジタル押し売り」は勘弁してほしい

ネット上で氾濫するデジタル広告にうんざりしている読者は多いだろう。もちろん、グーグルの検索エンジンからお役立ちサイト、さらにはユーチューブ動画に至るまで、ネットビジネスは広告モデルが中心だから、ある程度受忍せざるを得ない部分はある。

by Gettyimages

しかし、突然画面を覆うように登場してくる広告や、動画のタイミングを計らずに挿入される広告にストレスを全く感じない人々はいないはずだ。

そして、企業が広告効果を考える時には、受注に結び付いたなどのプラス効果しか見ていない場合がほとんどである。「しつこい広告を繰り返す企業は不快だからその会社の商品(サービス)は買わない」という可能性、あるいは「しつこい広告」による企業イメージの低下はほとんど考慮されないといえよう。

企業が自社の商品やサービスを買わない消費者に無頓着なのはある意味当然だが、ユーザーであってもしつこい広告に辟易する場合は少なくないと思える。当然それは、企業の売り上げにとってもマイナスだ。

ネット特有の広告機能に「お勧め」がある。過去の履歴によって、ユーザーの嗜好を推測して「最適な広告」を表示するという触れ込みだが、果たしてそうであろうか。

例えば、私は投資の仕事に関わっている関係から上場企業のホームページを頻繁に閲覧する。企業概要や決算報告などを確認するためだ。すると、その直後からその企業の製品やサービスの「お勧め広告」が頻繁に表示されるようになることが多かった(最近はクッキーの使用制限からなのか、あまり見かけなくなったようだが……)。

もちろん私は、企業の一部(=株式)を購入することはあっても、その企業の商品やサービスを購入することはほとんど無いから、その「お勧め」は的外れである。

逆に、私の嗜好にピンポイントでヒットするような商品・サービスのお勧め広告が表示されるとしたら不気味だ。「一体どこでその情報を仕入れたんだ!?」と感じるわけである。

 

これはかつての日本に多数存在した「世話焼きおばさん」に似た現象である。

世話焼きおばさんは、ご近所の色々な噂話を情報源として「縁談」や「就職」などを(無料で)親切に紹介してくれるのだが、本人の希望とはかけ離れていて上手くいかないことが多い。

逆に「あなたの意中の人は○○さんでしょ?」などとピンポイントで当てられたりしたら、「プライバシーの侵害だ。ほっといてくれ」という事になりかねない。

実は、現在のインターネットの世界は「世話焼きおばさん」があふれているのではないだろうか?

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