「不動産バブル」が膨らみ…
2013年から日銀は黒田東彦総裁のもと「異次元の金融緩和」を進めてきた。
世界的に見ても大規模と言える金融緩和により金利は引き下げられ、国内の不動産価格はここ10年で高騰した。2月28日に国土交通省が公表した「不動産価格指数」を見ると、マンションは2010年から2022年11月にかけて約1.9倍にまで上昇。住宅総合で見ても1.3倍以上に膨れ上がっているのだ。
また、不動産経済研究所によれば、2022年の首都圏新築マンションの平均価格は6288万円となっており、それまでの最高額であった1990年の数字を上回ったという。1990年といえば、1986年から1991年頃まで続いたバブル経済の真っただ中であり、株価はピークを越えて下がってきていたとはいえ、人々の実感としてはまだ好景気を享受していた時期だろう。

一方、昨年12月20日の会見で、黒田総裁は長期金利操作の許容変動幅を0.25%から5%に引き上げると発表。大手銀行はこの利上げに伴い、住宅ローンの固定金利を引き上げており、事実上の利上げに近い状況が繰り広げられている。そして、4月には当の黒田総裁が退任。後任には日銀の元審議委員であり、経済学者の植田和男氏が起用される方針で、今後の日銀の政策に注目が集まっている。
いずれにしても、1990年を上回ったという首都圏新築マンションの価格上昇を受けて、「不動産バブル」が膨らんでおり、近々崩壊するのではという声も少なくない。
はたして将来の不動産価格はどうなっていくのか。住宅評論家の櫻井幸雄氏に見解を伺った(以下、「」内は氏のコメント)。