〈この陛下はご幼少の頃からの御内定で、特別のご教育をお受けになり、お年も若くて初めから皇后宮様に(中略)おなりになりましたので、御責任も重く、すべてに控え目がちのご性質も手伝って、何事もお言葉として出るまでは、ずいぶんよくお考えになるご様子でございました〉(67〜68頁)

感情をあらわにしては周囲に迷惑がかかるので、なるべく心の動きを内に内にしまいこもうとする……一般的にはなかなか知り得ない、皇后という難しい立場の一端が垣間見えるようです。皇族の、こうした人間的な側面についての知識は、わたしたちが皇室について考える際にも重要なヒントになるかもしれません。
なお、そのほかにも山川がつぶさに見ていた「天皇家の内側」のさまざまな事情については、【天皇が「伊藤博文暗殺の一報」を聞いた数日後、思わず漏らした「驚きの一言」】などの記事でも紹介しています。