1995年のデビュー以来、圧倒的な存在感と個性溢れる美しい歌声で魅了してきた歌手のUAさん。20年ほど前から東京を離れ、自然豊かな環境で音楽活動をしながら、農的な生活を続けています。彼女が考える豊かな暮らしとは。家族と暮らすカナダの離島にある住まいを訪ねました。
セルフビルドした家と
たくさんの生命に囲まれて
元々農場だった土地を購入し、家族で移住したUAさん。三男、飼い犬と散歩中。広大な敷地の中に森や畑がある。
「この島に来てもう7年経つんです。雰囲気ものんびりしてるでしょう」。のどかな景色が続く一本道。車を走らせながらそう話す歌手のUAさんは、現在カナダの離島で夫と3人の子どもと暮らしている。やがて見えてきたのは鬱蒼とした森。その入り口から続く一本道の先の開けた場所に彼女の暮らす家があった。
周りには数軒、離れの建物が点在し、昔住んでいたトレーラーハウスや建設中の自身のスタジオや長女の部屋など、それらすべて夫が作ったものだと教えてくれる。家の前は畑と草原が広がり、奥には森が見える。元々農場だったという敷地の広さは15エーカー。あまりピンとこないが10エーカーで東京ドームおよそ1個分と考えると、その広大さに驚く。
お気に入りの大きな柳の木。手前のアヒル小屋は子どもの手づくり。夫が手伝いながら完成させた。この後ろが母家。
「敷地の半分は森ですね。トレッキングできる素敵な小径があって、それが気に入って決めたくらい。でも5年ほど前に大きな嵐が来て、森中の木が倒れて潰れてしまった。ショックでしばらく手付かずにしていたけれど、最近は倒木を出して製材したり、薪にしたりしています」
カナダにルーツのある夫の強い希望もあって、UAさんが子どもたちとこの離島に移住したのは7年前のこと。
梁や柱が美しく整った造りの母家。セルフビルダーである父親を手伝っていた夫が主に手がけた。壁は腐りにくく耐久性が優れているといわれる焼杉に。UAさんも今回初めて板を焼くところから挑戦してみた。
「日本にいる義父がセルフビルダーで、家をはじめ、何でも作ってしまう人。昔からオーガニックな野菜や米を作りながら、サステナブルな暮らしを実践し続けています。夫は子どもの頃から影響を受けていることもあって、その暮らしを実現できる場所を探していたようです」
テラスにはハンモックを設置。
