手数料ビジネスに走っている銀行
今回のケースのように、銀行は投資信託や保険商品の販売による手数料収入を得ることに力を入れています。
本来、銀行はお金を貸してその利息で利益を得ることが仕事ですが、長く低迷する日本経済において資金需要は以前に比べ少なく、政府の金融政策により低金利が続き本業での利益を得にくい状況となり、こういった金融商品販売で収益を得る手数料ビジネスに走っている側面もあります。
顧客の資産状況や、今後の生活設計などをコンサルティングし、その上でそれに合った商品として手数料の高い投資信託を販売するのであれば顧客利益に資する販売と言えるでしょう。手数料が高い商品であっても、優秀な運用実績の商品もあり、利回りの良い社債等と組み合わせることで安定的にリターンを得られる資産配分にすることもできます。

また、シニアを対象とした場合、相続対策や認知症になった場合などの資金管理の手段として、保険商品は活用できる場面も多いものです。保険商品もよく手数料が高くぼったくりのように言われ問題視されることが多いものですが、顧客の状況によっては保険商品の持つ機能が大いに役立つ場合もあります。
このように、場合によっては高い販売手数料を受取り収益を確保できるため、顧客の人生設計や家族環境、資産状況を鑑みて、適材適所で金融商品や保険商品の活用を提案すれば、今回のように顧客利益を害するような販売手法を取らずとも収益を確保することもできるはずです。
人生100年時代、顧客の多様化するライフスタイルにおいて、顧客一人一人にあった資産形成、資産運用プランというものはとても大切なものです。
銀行は顧客のお金を預かり、少なからず顧客から信頼を得られている立場であるはずですが、その立場にある銀行が今回の様な提案をしてしまうケースも多く、金融庁からも顧客本位の提案を行うように度々注意を受けています。
預金口座という顧客との強い接点を持っているのですから、しっかり顧客のライフプランから必要と考えられる保険や金融商品を販売していく等、ビジネスモデルの設計を考えれば如何様にも売り手と買い手双方の利益になるビジネスを考えることができるはずです。
それを考えられないのは銀行上層部の想像力の欠如と社会の血液であるお金を預かる社会の公器であることの意識の欠如と言えるでしょう。
勿論、全ての銀行員がそういった顧客利益に反する提案をするわけではありませんし、顧客のために親身になってくれる人もいます。しかし、銀行が手数料ビジネスに走り、こういった顧客の利益を顧みない手数料稼ぎになっていることも少なからずありますので、我々契約者側が一旦立ち止まって、本当に自分のためになる提案なのかを考え直すことが必要です。