元衆議院議員の金子恵美さんと、身近な話題から政治への参加を考えていく連載の第5回目は「議員の日常」。まさに数日前にニュースでガーシー前議員の除名処分について報じられていましたが、そもそも議員の仕事についてどれだけの有権者が理解しているのでしょうか。今回は金子さんに、議会が開かれていない時にいったい議員は何をしているのか、お話を伺いました。
(以下、金子さんのインタビューを夫の宮崎謙介さんがライターとして寄稿してくれました)
「議員は暇そうでいいよなぁ」の声に感じた悔しさ
現職の議員だった当時は、「議員の一日はどのような感じですか?」と聞かれることが多かったように思います。確かに、議員が普段何をしているのかということはいまいち想像がつきませんよね。テレビで目にする議員の姿といえば、総理大臣や官房長官、国務大臣などが会見をしているところ、本会議場で淡々と原稿を読んでいるところ、予算委員会で激論を交わしているところ、どこかに視察に行っているところ、テレビの討論番組などで発言しているところ、議事堂で居眠りをしているところ、不祥事を起こした議員が謝罪をしているところ(苦笑)、くらいでしょう。日常でどのような働き方をしているのかはあまりイメージが湧きませんよね。

私は小さな村で育ちました。私が3歳の時から、父はその村の村長を務めていました。なかなか家でゆっくりコミュニケーションを取る時間も少なくて、朝起きるとすでに家を出ていて、私が眠った後に帰宅する生活。そんな父を一番見かけるのは学校行事でした。だから幼い時は父のことを、「外でみんなの前でお話をしてくれるおじさん」だと認識していました(笑)。小学校中学年くらいからようやく、父親が村長をしているのだということを理解し始めましたが(遅い…)、それほどまでに村長である父は忙しかったように記憶しています。
村長は、その村で1人ですが、議員は何人かいるものです。それは市町村や都道府県でも同じで、1人のトップがいて、大勢の議員がいるというバランスになっています。これだけ考えると、多くいる議員より首長(「くびちょう」と読む。村長、町長、市長、知事のこと)の方が必然的に忙しくなるのは当たり前ですよね。その自覚が私にあったからでしょうか、市議会議員や県議会議員をしていた時に、地元の方から「議員は暇そうでいいよなぁ。たまに議会さえ出てればいいんだから。しかもそんなに議会も開かれないし、楽な商売だよなぁ」と面と向かって言われたことがあり、こみ上げる怒りを抑えたことを鮮明に覚えています(笑)。怒りというより、悔しい気持ちでしょうか。
そもそも地方議会というのは、2月または3月、6・9・12月に定例会が開かれます(その他、必要がある場合臨時会が開かれたり、条例によって通年会期制の議会もあります)。
極端な話、これにさえ出ていれば議員としての務めを果たしたことになるのです。議会が開かれていない時に一切活動をしていなければ、全くもって先に私に対して「議員は楽な商売」だとおっしゃった方の言う通りでしょう。
ただ、それは大きな大きな誤解です。