提供:SHISEIDO
美しさと妖艶さ、鋭さと達観、そして時折見せるあどけなさ。今年18歳となる若さで歌舞伎界の将来を託された八代目・市川染五郎が挑戦し続ける「歌舞伎を残すため」の伝統と革新は、日本を代表するグローバルブランドのSHISEIDOが目指すゴールと不思議なリンクを描き出します。
SHISEIDOと市川染五郎の
伝統と革新

伝統と革新とは――。そのふたつは相反する存在のようで、実はお互いがDNAの螺旋のように絡まり合っているのだと気付かされる。八代目・市川染五郎さん(以下、敬称略)にそう質問すると、躊躇することなく、こう答えた。
「先人が繋いできたものを受け継ぐことだけではなく、下の世代に渡すところまでが“伝統”だと思うんです。個人的には、今のままで100年後、歌舞伎が存続しているかどうかに危機感を抱いているので、伝統をどう革新すれば歌舞伎を残せるのかを、常に考えています」(染五郎)
資生堂も創業当初から“伝統と革新”を体現してきた企業だ。その最たるものが126年前に発売した化粧水の『オイデルミン』 であり、日本が明治から大正へと移り変わろうとした時代に率先して“西洋”のエッセンスを取り入れ、日本の美に大きな影響をもたらした。
「まさに日本が“日本らしさを残しつつも世界となじもうとしていた時期”だったと思うので、衝撃的だったでしょうね。僕は『日本の美』に対して、自然に生まれたものというより“計算されたもの”という印象を持っています」と染五郎は続けた。
「歌舞伎には型があり、それは先人が『こうすれば美しく見える』『強く見せるにはこう』といった表情や動きをミリ単位で分析して創ったものです。加えて、歌舞伎は多くの職人の方の存在で成り立っています。床山さん、衣裳さん、大道具さんに小道具さん……。細かいところまで計算して創られる美しさというのが歌舞伎であり、資生堂もそうやって歴史を紡ぎ、時代を乗り越えてきたのではないでしょうか」
そう答えながら、染五郎は「一生勉強なんでしょうね。祖父はいつもそう言っていますから」と呟いた。
「SHISEIDOは日本の美を世界へと発信していると聞きます。歌舞伎ももっと日本の方に観ていただくために、世界へ発信し、そこから改めて日本の方を魅了する――そういう方法も僕らが担うべき“革新”のひとつであるのかもしれません」
神話を創るのは、
たゆまぬ努力が積み重なってこそ
今回JAXURY AWARD 「神話・歴史」部門を受賞したSHISEIDO。その120年以上という長い歴史が、ひとつの化粧水を“神話”へと昇華させた。それは、SHISEIDOが大切に育んできたオイデルミンにほかならない。
「化粧水はお風呂上がりに付けます。でもそれは自分自身というより、役者・市川染五郎のため。歌舞伎役者は下地に鬢付油を使うのですが、そのときの肌の調子によってまったく乗らないときもあれば、不思議なくらいなじむ日も。こればかりは自分でコントロールができません(苦笑)」
染五郎に尋ねた新生オイデルミンは「しっとりしているけどベタつかず、つけ心地が良い」と満足気。染五郎が未来に紡いでいく彼自身の“神話”の一部を、オイデルミンが担うかもしれない――。そんな可能性を垣間見た。
SHISEIDOと歌舞伎を繋ぐ
赤がもたらす生命感

日本人に受け継がれる唯一無二のカラーであり、SHISEIDOのDNAともいえる色――それがRED。血流や生命感など、赤がもたらすイメージはそのまま、歌舞伎と SHISEIDOが共通認識としてシェアするものである。
「赤にはやはり“日本らしい”という印象を持ちます。今日は赤い口紅を纏いましたが、柔らかさも強さも表現できるのがこの色みの興味深いところ。隈取りで使われる赤はまさに生命感。柔らかい印象の役だと赤で眉を描いて、その上から黒でボカすテクニックを使ったりします。一言で“赤”と言ってもいろんな赤がありますし、取り入れ方次第で真逆の表情に仕上がる。奥深いカラーだと思います」(染五郎)
日本の歴史も美も
ここから生まれて世界へ飛び立つ
資生堂が151年前に日本初の洋風調剤薬局を開業した銀座。以来、“日本の美”は絶え間なくここから発信されてきた。いみじくも初代の歌舞伎座は1889年に内部は日本風檜づくり、洋風の外観で木挽町に開場した。
「僕の中で“銀座”と言えば歌舞伎座。建て替え前の歌舞伎座で、僕は『連獅子』で初舞台を踏みました。普段と演出が違い、セリから登場したのですが、セリを動かす大きな機械音が轟く中でせりあがったときに、2000人のお客様の視線が注がれた、その“怖さ”を今でも覚えています。資生堂や歌舞伎座が常に歴史を守りながらも進化しているように、歌舞伎そのものを進化させたい。進化を怠らずに歌舞伎という伝統を残す、そのためのチカラになるのが僕の一番の目標ですから」(染五郎)
あらゆる出合いが身体に染み込み、
未来へ繋がる

「昨年は歌舞伎だけでなく、映像の作品にも出演させていただき、そこで多くの役に出合いました。どれもが一期一会で、それぞれまったく異なる役柄だったので改めて役者という仕事の面白さを実感しました」(染五郎)
それが自身にどう組み込まれるのかと尋ねると「その役を終えたとき、それが“市川染五郎の一部”として染みついていく気がします」と一言。染みついたものが新しい要素となり、八代目・市川染五郎をつくる血や肉となるのだろう。
「SHISEIDOのモノづくりも同じなのではないでしょうか。名称は変わらずとも、新しい知見や研究が積み重なり、新たなものが生まれる。ひとつひとつの出合いに重要な意味があるはずです」
国宝級の進化を描き出した
職人の技の結晶

“オイデルミン”の誕生は、1897年にまで遡る。SHISEIDOが初めて世に送り出した化粧水は、126年という時を越えて独自研究を重ねた末に、美しさをめぐらせるオイデルミン エッセンスローションへと再生を果たした。
「この化粧水がここへ辿り着くまでには、研究のみならず、パッケージから質感に至るまで数多くの方が携わってこられたのだと思います。今年1月に公開された映画『レジェンド&バタフライ』に森蘭丸役で出演させていただきましたが、その撮影が重要文化財や国宝とされている建物で多く行われ、僕も中に入らせていただいたんです。壁に描かれた絵や装飾を観ていると、何百年も昔に驚くような技術があり、それらを職人が魂を込めて作ったことを肌で感じる瞬間がありました。オイデルミンにもSHISEIDOのクラフトマンシップが脈々と流れているのだろうと、そう感じます」(染五郎)
※価格は参考小売価格です(店舗によって異なる場合があります)。
FRaU5月号では、
撮り下ろしの広告クリエイティブも掲載

PROFILE
市川染五郎 いちかわ・そめごろう
2005年生まれ。東京都出身。2018年、歌舞伎座において市川染五郎を八代目として襲名。2022年6月『信康』にて歌舞伎座初主演。映画やドラマなど活躍の場をさらに広げている。
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0120-587-289(9:00〜17:00/土・日・祝日を除く)
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●情報は、FRaU2023年5月号発売時点のものです。
Photo:Tadayuki Minamoto(portrait),Hiroki Watanabe(stilllife/LATERNE) Hair&Make-up:AKANE Styling:Nao Nakanishi Text:Miho Maeda Edit:Kanako Shibuya