福田萌さんは、現在、9歳の女の子と6歳の男の子を育てています。夫はオリエンタルラジオの中田敦彦さん。現在はシンガポールに拠点を移し、連載では日々の様子や子どもたちの学校生活の様子を綴っています。
昨年のW杯期間中、急に思い立ってカタールに家族で観戦に行ったという福田さん。2022年は海外旅行で5カ国もの国を訪れたというが、なにがそこまで福田さんを「海外」に突き動かしたのか。それぞれの旅行を振り返りつつ、その理由を綴っていただいた。
コロナの閉塞感を打ち砕きたかった
「ねえ、明後日カタール行こうよ」
日本代表の活躍に心躍った、昨年のサッカーW杯。スペインを降し、決勝トーナメント進出を決めた興奮冷めやらぬ中、現地で試合を観に行こうと家族に提案したのは、私だ。
世界中がだんだんとアフターコロナへ向けて、出入国制限が解除され始めた昨年。私は、気づけば5カ国も海外に出向いていた。シンガポールは狭い国であるがゆえ、国際線の空港が市街地から30分ととても近くにあり、コロナ以前は週末のたびに海外で過ごす、なんてライフスタイルを送る人が少なくなかったらしい。世界のハブ空港でもあるシンガポール・チャンギ空港は、大体ほとんどの国へと直行便が伸びている。
私はチャンギでいろんな都市名が書かれた搭乗口に並ぶ人を眺めるのが好きだ。「あの人たちは今から〇〇に行くのか」と想像を膨らますのは、どこでもドアを眺めているようでワクワクする。とはいえ、まだ規制が様々に変化していた昨年。なぜ私は5カ国へも旅をしたのか。コロナの閉塞感を打ち砕きたい、という反骨心みたいなものがあったのかも知れない。私なりのコロナへの戦いであり挑戦だった。
昨年一番多く訪れた「海外」は、日本なのだが、日本に至っては後半はほぼ毎月のように滞在していた。コロナにより突如日程変更された弟の結婚式や祖母との別れなど、予期せぬ短期の滞在もあったし、夫の仕事の都合に合わせて滞在することもあった。思い描いていたシンガポールと日本の2拠点生活がいよいよ開始した風だ。

日本以外で最初に訪れたのはインドネシアのビンタン島だ。以前もこの母子3人旅行については連載に書いたが、この時の文章を読み返しても当時から(昨年4月)「とにかく旅行がしたい」という思いが伝わってくる。ビンタン島がコロナ後、外国人受け入れを開始して一番乗りくらいだったので、島のホテルのスタッフから大歓迎を受け、ホテルで夜開かれたパーティーは「待ってました」と言わんばかりの大盛況、例えるなら、『美女と野獣』のお皿たちが踊り出すシーン。久しぶりのお客様に「ようこそ」と野生のサルもオオトカゲもムササビもホテルに顔をだし、島全体が沸き立っていた。
ビンタン島はシンガポールから船でわずか1時間ほどで着く、シンガポールとインドネシアが共同開発したリゾートの島だ。シンガポールの都会の雰囲気から、1時間で沖縄のようなゆっくりとした空気の流れる自然豊かなリゾートがあることが知れたのは、気持ちにふっと風穴が空くような感覚がした。都会に疲れたら、いつでもビンタン島に来ればいい、船に乗って。