習近平が動いた
中国の習近平総書記(国家主席)が来週にもロシアを訪問し「ウラジーミル・プーチン大統領と会談する」と報じられた。中国は先週、サウジアラビアとイランの外交正常化を仲介したばかりだ。その勢いをかって、ウクライナ戦争でも仲介する可能性が出てきた。
習氏のロシア訪問は、ロイター通信が報じた。3月13日付のウォール・ストリート・ジャーナルによれば、習氏はこの機会に、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領ともオンラインで会談する可能性がある。同紙は「習氏はロシアの後、欧州を訪問する予定」と報じており、キーウで大統領と直接会談するかもしれない。
プーチン大統領は昨年12月のオンライン会談で習氏を招待し、時期については「4月か5月ではないか」とみられていた。なぜ、このタイミングになったのか。
まず、プーチン氏のロシアが戦場で苦境に立っている。
英情報機関によれば「ロシア軍は弾薬不足に陥っている」という。ロシアは弾薬を北朝鮮から、ドローンをイランから調達してきたが、両方とも息切れし、結局、頼りになるのは中国なのだ。

習氏とすれば、ロシアが戦争に敗北して、同志であるプーチン氏が失脚する事態は避けたい。「テコ入れするなら、いま」とみたのだろう。ただ、西側の制裁を受ける可能性を考えれば、中国が実際に武器供与に踏み切るかどうかは不透明だ。
一方、西側も武器が不足している。米国は弾薬が底をつきかけて、韓国に供給を打診した。つまり、ロシアと米・ウクライナ双方に「戦争疲れ」が出ており、「いまが主導権を握るチャンス」とみたのだろう。