すれ違う米国とウクライナ
中国にとって、それ以上に重要なのは「米国とウクライナの間に隙間風が吹いている」点である。
米国では「これまでのような支援は、いつまでも続けられない」という見方が強まっている。ジョー・バイデン政権は表向き「それが続く限り(as long as it takes)支援する」と語ってきた。だが、微妙に軌道修正している。
2月13日付のワシントン・ポストは「その言葉は『紛争が続く限り』という意味であって『支援を必要とするだけ、いくらでも』という意味ではない」と語った政権幹部の発言を伝えている。

バイデン政権の腰が引けているのは、下院で多数を握った共和党内で「ウクライナ支援を見直すべきだ」という声が勢いを増しているからだ。選挙前から「白紙の小切手を切れない」と主張していた共和党のケビン・マッカーシー氏は、下院議長の要職に就任した。
将来の大統領候補の1人と目される共和党のジョシュ・ホーリー上院議員も2月16日、ヘリテージ財団での講演で「我々は欧州全部を合計したよりも多くの武器をウクライナに送った。台湾を奪取しようとする中国の抑止こそが米国の最優先事項だ」と訴えた。