2023.03.17
# 宇宙科学

「なぜ宇宙には物質が存在しているのか?」実は現代の物理学でも説明できない究極の謎だった…素粒子実験の第一人者が語る「ニュートリノがなければ人類も誕生できなかった」という不思議

サイエンスZERO プロフィール

日本のニュートリノ研究が世界トップレベルになった理由とは

―ニュートリノの研究で日本が世界トップレベルにあるのはなぜだと思いますか?

まず、すごい先人がいたというのが一つです。小柴昌俊さんとか、戸塚洋二さんとか、もちろん梶田隆章さんも、他にもたくさんいらっしゃいます。

かつ、ちょうど日本のサイズがよかったという幸運もあると思います。茨城から岐阜へニュートリノを飛ばして実験するのですが、その距離などいろんな自然条件が研究に適していたというのもあります。幸運があるからいい人材が集まって来て、それでまた研究が活発になっているという。

―チームでトップレベルの研究を進めていくために、大切なことって何だと思いますか?

研究規模はどんどん大きくなっても、人の数とか予算は頭打ちであったり減ったりしています。きっと他の分野もそうだと思いますが、ニュートリノの分野も辛い状態で頑張っています。すごく貪欲な研究者が集まって、歯を食いしばってというか。他の実験グループの人から、「そこまでえげつなくやらんでもいいじゃん」とか言われることもたまにありますが、「頑張ればもう目の前で成果が得られる」という状態でやっているのが大きいのかもしれないですね。

NHK提供
 

人類究極の謎に向かう並々ならぬ熱気が伝わるインタビューとなりました。

後編『世界500人の研究者で「人類究極の謎」に挑むプロジェクト・リーダーの「意外なストレス解消法」…単身赴任中に「出張」して子育てをしながら感じた「女性研究者の活躍の意義」とは』では、市川さんがこうした世界トップレベルの研究にどのような経緯で挑戦し、子育てを通してそれを継続していったのか、そして女性研究者が力を発揮できるアカデミアのあり方などについて伺いました。

「サイエンスZERO」20周年スペシャル 3月26日(日)夜11:30 NHK Eテレ 

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