糖尿病、と聞くとどんなイメージだろうか。これをお読みのペットオーナーのなかにも、糖尿病で定期的に通院したり内服したりしている方もいるだろう。

「犬や猫も、糖尿病になります。人間の糖尿病と違い『まずはこの薬を飲んでください』とはならず、たいてい1日1回ないしは2回のインスリン注射が必要になります。犬猫は人間のように自分で注射を打てず、また毎日病院に通うわけにもいかないので、実際に注射を打つのはオーナーとなるため負担も大きくなります」というのは、獣医師で作家の片川優子さんだ。

糖尿病治療では「インスリン注射」の治療が中心になり、飼い主の負担も大きい。photo/iStock

犬猫の糖尿病は、数ある内科疾患のなかでも、オーナーの負担がかなり大きいやっかいな病気だという。今回はそんな犬猫の「糖尿病」について、片川さんが詳しく解説していく。

片川優子さんの連載『ペットと生きるために大切なこと
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そもそも糖尿病とはどんな病気なのか?

犬や猫の糖尿病の前に、まずは人の糖尿病を例に、糖尿病という病気がどういったものなのか簡単に解説してみたい。
人の糖尿病は、大きく分けると4種類に分けられる。

1.    1型糖尿病
2.    2型糖尿病
3.    その他の特定の機序、疾患によるもの
4.    妊娠糖尿病

1型糖尿病の多くは、膵臓でインスリンという血糖をコントロールしているホルモンを作るβ細胞が何らかの理由により破壊されてしまうことにより、血糖値がコントロールできず、高血糖になってしまう状態だ。若年のやせ型の方に多く、血糖値をコントロールするためには、注射でインスリンを補う必要がある。

2型糖尿病は、食べ過ぎ、運動不足、肥満などの環境的な影響により、インスリンが出にくくなったり、インスリンが効きにくくなることで高血糖になってしまう。中高年で肥満の方に多く、食事療法・運動療法、飲み薬、場合によってはインスリン注射により治療を行う。

人や猫は、食べすぎ、運動不足などの肥満が糖尿病(2型)が原因になることも。犬の場合は、1型タイプの糖尿病が多い。photo/iStock

3のその他の特定の機序、疾患によるものは、糖尿病以外の病気や治療薬の影響で血糖値が上昇して発症するものだ。

4の妊娠糖尿病は、妊娠中に初めてわかった、まだ糖尿病ではないけれど血糖が高い状態のことをさす。妊娠糖尿病を経験した方は、将来糖尿病になりやすいと言われている。

参考:糖尿病情報センター
https://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/010/010/01.html