日本は、日本製鉄や三菱重工など、元徴用工に訴えられた企業が「日帝強制動員被害者支援財団」に直接寄付することさえできないという。韓国側が今次の会談に期待したのは、日本政府がきちんと反省謝罪の意思を表明することである。
岸田首相は記者会見の場で、「歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいることを確認した」と述べ、過去の政府の認識を再確認した。しかし、1998年の小渕・金大中パートナーシップ宣言に盛り込まれた「多大な損害と苦痛を与えたという歴史的事実」「痛切な反省と心からのお詫び」という言葉はいずれも入らなかった。
この発言では、反省とお詫びが岸田首相の言葉ではないとの批判を招きかねない。
尹大統領が踏み切った「重大発言」
2015年の戦後70週年談話において安倍総理は、過去の談話を再確認したところ、韓国のメディアはそれでは安倍首相が「反省とお詫び」を述べたことにならないと批判があった。
これに対し当時の朴槿恵大統領は、「反省とお詫び」が日本政府の変わらぬ方針であるということは未来にも引き継がれることを意味すると説明し、事なきを得た。
今回の岸田首相の発言に対して、尹大統領は国内を納得させる宿題を負ったことになるだろう。それでも、財団が元徴用工に支払ったおカネに対する求償権は残るのかと共同記者会見で質問され、「もし求償権が行使される場合は全ての問題を元に戻してしまう。そのため求償権の行使は考えていない」と毅然とした姿勢で応えていた。日本はこうした尹大統領の姿勢は率直に評価し協力していくべきだろう。