
日本人が「絶滅」する前に…政治家もマスコミも誤解している、人口減少「本当の対策」
超党派議連設立、ようやく議論が始まる女性激減という「決定済みの未来」
過去最低の合計特殊出生率は2005年に記録した1.26だ。その後は上昇し2015年は1.45にまで回復した。ところが、両年の出生数を比較すると106万2530人から100万5721人へと5万6809人も減っている。
一方、総務省の人口推計(各年10月1日現在)で両年の25~39歳の日本人女性数を確認すると1295万1000人から1066万2000人へ17.7%も少なくなっている。
この先も、25~39歳の日本人女性数は凄まじい勢いで減っていく。2021年10月1日現在は943万6000人だが、25年後にこの年齢となる0~14歳は710万5000人でしかない。24.7%も減ってしまうことは「決定済みの未来」なのである。
短期間にここまで減ったのでは、いくら岸田文雄首相が「異次元の少子化対策」を展開しようとも焼け石に水だ。岸田首相は「流れを変える」と語るが、それは意気込みに過ぎない。
もちろん、少子化対策が無駄だと言うつもりはない。出生数の減少に歯止めをかけられないとはいえ、減るスピードを遅くする効果は見込めるからだ。現在の日本においては遅くするだけでも大きな意味がある。
コロナ禍前から出生数減のペースは速まってきており、国立社会保障・人口問題研究所(社人研)の低位推計(最も厳しい将来見通し)に近づきつつあるためだ。社人研の「出生低位・死亡中位」推計を確認すると、2065年の日本人の出生数は40万1000人、2115年には18万4000人である。これを許せば、日本には打つ手がなくなる。
だからといって、少子化対策だけを行って人口減少対策をしたつもりになっていたのでは不十分だ。人口が減ることによる諸課題はすでに広がり始めており、その対策は待ったなしである。