
日本人が「絶滅」する前に…政治家もマスコミも誤解している、人口減少「本当の対策」
超党派議連設立、ようやく議論が始まる真の人口減少対策とは
人口減少対策とは、「人口減少に伴って起きる課題への対策」と「出生数の減少を緩和させる政策」と2つの政策に分けて考えなければならず、しかも双方を同時に進めることが求められているということだ。
ところが、政府や国会はこれまで子育て支援策の拡充ばかりに懸命になってきた。前者についてはほとんど手つかずといった状態で、どの分野の政策にも人口減少を十分に織り込んでいないものが目立つ。これではうまく行くはずがない。
人口減少問題の本質を正しく捉えるには、人口減少によって今後何が起きるのか正しく認識することが不可欠となる。超党派議連では正しい理解も広める。

2つの政策は並行して展開しなければならないが、その対象は多岐にわたる。では何から取り組めばいいかと言えば、喫緊の課題はほぼ手つかずだった「人口減少に伴って起きる課題への対策」である。すなわち「人口減少に耐えうる社会の創設」だ。
人口減少に耐えうる社会の創設に向けた検討課題に優先順位をつけるとすれば、まずすべきは2つだ。
1つは勤労世代が減っても社会が機能不全に陥らないようにすることだ。もう1つは国内マーケットが縮小しても日本経済が成長を続けられるようにすることである。
これらの課題への打開策としては外国人の大規模な受け入れを唱える声もあるが、実際のハードルは高い。
コンピューターが普及した結果、これまで労働者を送り出してきた国々に最先端工場が建ち並ぶようになり、経済も発展して雇用が創出されるようになったためだ。経済低迷が続いてきた日本は、こうした国の人々にとって魅力がなくなってきている。
それ以前の問題として、日本の勤労世代(20~64歳)は単純計算するとすでに毎年70万人ペースで減りつつある。これほどの規模を穴埋めする労働者数を送り出し続けられる国が見当たらない。現状より外国人が増える可能性はあるが、人口減少対策としては限定的であろう。
もはや日本は、人口が減っても豊かさを維持するという極めて難しい道を進むことを迫られているのである。しかも自分たちでそれを考え出さねばならない。
それには既存の価値観や仕組みを一度打ち壊すことが求められる。捨てるものを捨て、残すものに磨きをかけていくことだ。超党派議連にはタブーを恐れず、大胆な発想による新たな国の在り方を模索することが期待される。