なぜ戦争が起きるのか? 地理的条件は世界をどう動かしてきたのか?
「そもそも」「なぜ」から根本的に問いなおす地政学の新たな入門書『戦争の地政学』が話題になっている。
地政学の視点から、ロシア・ウクライナ戦争を分析して見えてくることとは——。
「ロシアの国家としての存続をかけた戦い」
ロシアのプーチン大統領が、次のように発言したというニュースが流れた。
「我々にとってこれは地政学的な課題ではなく、ロシアの国家としての存続をかけた戦いであり、国と子どもたちの将来の発展のためである」
これはどういう意味だろうか。
どうやらプーチン大統領は、「西側」諸国を追い詰める権力政治ゲームをしているが、ロシアは国家総動員体制で自らを守っている、と国民を鼓舞しているようである。
ロシア人は、ナポレオンとヒトラーの侵略をロシア/ソ連が撃退した戦争を、それぞれ「祖国戦争」「大祖国戦争」と呼んでいる。プーチン大統領としては何とかして「今ウクライナで起こっている戦争も大祖国戦争だ」ということをアピールしようとしているわけだ。
他人の国に侵略戦争を仕掛け続け、自国の領土への攻撃を控えてもらっている状況で、「よく言うな」という話だ。もっとも、これくらいの強心臓でなければ、他人の国に侵略戦争を仕掛けるはずもない。今さらプーチン大統領の厚顔無恥に驚いても仕方がない。