「冥王星」が「惑星」ではなくなってしまったことによって「激怒」してしまった人たち…最新天文学が明らかにした衝撃的な太陽系の真の姿とやがて見つかる「第2の地球」
前編『「日本で最も有名な天文学者」にここ20年の「宇宙の大発見」について聞いたら驚きのニュースが多すぎた件…「アインシュタインからの宿題『重力波の発見』」「『中性子星合体』で金と銀が生まれる」「惑星誕生の瞬間」「ブラックホール・シャドウが見えた!」』から、「日本で最も有名な天文学者」とも言われる国立天文台特任教授の渡部潤一さんにこの20年で発見された宇宙の大発見についてお話を伺いました。本編でもその続きを伺います。
そして「宇宙を知ることは人類を顧(かえり)みること」と語る渡部さんですが、宇宙の謎が解き明かされるにしたがって「私たちの文明が子ども」だということに気づかされるとも言います。いよいよその意図について詳しく伺います。

惑星の定義が変わった! 教科書が書き換えられた大ニュースの舞台裏
―2006年に「冥王星」が太陽系の惑星から除外されたことも大きな話題になりましたね。
これは新聞の一面になりましたし、教科書も書き換わってしまったので、国際的なインパクトは大きかったです。2003年頃に冥王星よりも大きな天体が発見され、冥王星の周りにはやたら同じような天体が数多くあることが分かってきました。それで、「仲間がいっぱいいて、しかも自分がちょっと小さめ」の冥王星だけを惑星と呼び続けるのかという話になって、2006年に国際天文学連合(IAU)が惑星定義委員会を立ち上げて、議論をして惑星をきちんと定義することにしたんです(※2)。その際に、惑星と小天体の間に「準惑星」というカテゴリーを設けて、そこに冥王星も位置付けました。
私は、国際天文学連合の中で「惑星定義委員会」の7人のメンバーのひとりに選ばれたんですが、アジアから誰かということで、太陽系や惑星がよく分かっていて、なおかつ社会的なインパクトもよく分かる人ということで、広報をやっていた僕に白羽の矢が立ちました。それで、秘密裏にパリ天文台で合宿をして案を作ったんですが、みんなから文句言われる役だから、えらいしんどかったですよ。
