2023.03.25
1999年4月12日、「東大の入学式」で起きた「異常事態」をご存じですか?
47分の式辞破格の長さの式辞
蓮實重彥氏といえば、日本を代表するフランス文学や映画の研究者として著名です。また、『伯爵夫人』で三島由紀夫賞を獲得した作家でもあり、この授賞式の会見での様子をご記憶の方も多いかと思います。
さて、蓮實氏は1997年4月1日から2001年3月31日まで、東京大学の第26代総長をつとめていたことでも知られています。

蓮實氏が総長をつとめていた際にしばしば話題になったのは、入学式や卒業式の式辞が、知的なフレーズで新入生を魅了していたこと(そして、その種のあいさつとしては破格の長さだったこと)です。
当時の知的な雰囲気は、どのようなものだったのでしょうか?
「蓮實総長」の入学式・卒業式の式辞をはじめ、蓮實氏のさまざまな講演やあいさつが収録されている『齟齬の誘惑』という書籍がありますが、同書には、1999年4月12日におこなわれた東京大学入学式の式辞がおさめられています。
〈ここにおられる一人ひとりの男女は、それぞれに恵まれた資質と、やがて顕在化されることになるだろう個々の多様な才能に応じて、東京大学の予測しがたい未来の豊饒化に加担する主体として、この場に参列しておられるのです〉
〈あなたがたを迎え入れようとしているこの大学もまた、いわゆる「東大」という略称で人びとが思い描きがちなイメージには到底おさまりがつかぬほど大胆かつ繊細な構造におさまり、慎重さをいささかも排除することのない斬新な賭けの精神を露呈させるいくつもの断片や細部からなっております〉
こうしたフレーズに満ちた式辞に、東大の新入生たちはどんな反応をしたのでしょうか?