2023.03.30
# 韓国

日本は韓国に「貸し」を作った…日韓「シャトル外交」再開でこれから岸田総理が抱える「大きな課題」

「けりをつけた」ユン大統領

岸田首相は、3月16日韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領と首相官邸で会談し、悪化した日韓関係を正常化し、さらに発展させることで一致した。あわせて、日韓の首脳が相互に訪問する「シャトル外交」の再開で合意し、日韓両首脳は、将来に向けて日韓関係の新たな章をともに開く機会が訪れることになった。

今回の会談で最大の目玉は、韓国のユンソンニョル大統領が、元徴用工訴訟問題に”けり”をつけたことにあろう。

ユン大統領は、2018年の韓国大法院が日本企業に対して賠償を求めた判決は、1965年に結ばれた日韓基本条約に基づく韓国政府の姿勢とは異なると明言し、戦時中の請求権を放棄とする日韓協定に立脚して日本との関係を正常化させると強調したからだ。

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徴用工訴訟問題に端を発した日韓関係の冷え込みを簡単におさらいすれば、日本の最高裁にあたる韓国大法院は、2018年、元徴用工に対して日本企業に賠償を命じる判決を出し、ムン・ジェイン(文在寅)政権もこの判決を踏襲する立場を示したことから、政治分野では1965年の国交正常化以降、最悪の状態に陥っていた。

知っての通り、徴用工問題をきっかけに日韓関係はその後から、悪化の一歩をたどり、慰安婦問題では韓国側が2015年に日韓の合意に基づいて設立した『和解・癒し財団』の解散を宣言。日本政府が10億円もの資金を拠出し、韓国政府が設立した財団の元慰安婦のための事業を行う試みは霧散した。

さらに2018年には海上自衛隊の哨戒機が、韓国海軍から射撃用の火器管制レーダーを照射される事件も起きた。2019年8月には韓国が軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を通告するなど冷却化していた。

日韓関係悪化の根源となる徴用工問題について、韓国は今月6日に解決策を発表。日本企業に命じられた賠償分を韓国政府傘下の財団が肩代わりする形で原告に支給する形で、実質的に韓国政府が韓国内でこの問題を解決するように政治決断をしたのだった。

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