「義母の借金2400万円」をかわりに返済、義両親の介護にも苦しんだ40代主婦ケアラーの告白
ヤングケアラー(若者介護者)の存在が、クローズアップされるようなった昨今。その火付け役となったのが、『おばあちゃんは、ぼくが介護します。』の著者で、自身もヤングケアラーとしての経験を持つ、奥村シンゴさんだ。
そんな奥村さんが今回取り上げるのは、30代から舅と姑の介護に追われ、さらには姑の借金の返済に協力させられたという女性の事例。
毎月10万円ずつ借金を肩代わりしながら、介護生活に入った彼女。一人ですべてを背負わないためにも、どのような支援を受ければよかったのかーー。
年間120万の借金返済に加え、舅の介護が始まった
姑の1憶4600万円の借金のうち、舅は月50万円、まゆみさんは月10万円の返済がはじまった。
まゆみさんは、看護師で中堅のポジションで働き年収450万円程度あったが、月10万円を返済していくには毎年120万円必要だ。
「お義母さんの借金返済分を差し引きすれば年収330万ですからね。ただでさえ日勤と夜勤を繰り返し、現場は人手不足で日によっては夜勤後日勤を日中までこなすこともあります。私は一体、何のために働いているのかと虚しくなる時が何度もありました。それでも患者さんの命を助ける使命が逆にモチベーションになっていました」(まゆみさん)

さらに、まゆみさんが30代半ばの頃、舅が脳出血で倒れた。一命はとりとめたものの後遺症が残った。姑は「私一人じゃ舅の面倒をみれない。まゆみさん、協力してくれるわよね」と当たり前のような口調で話すので、まゆみさんはさすがに激怒。
「私をなんだと思っているんですか。結婚した直後から姑さんが勝手に作った借金で人生棒に振り回された挙句、まだ介護しろと言うのですか。ひどすぎる」(まゆみさん)
しかし姑の反応は冷ややかで、まゆみさんを奴隷のように扱い続けたが感謝の気持ちが一つもない。その上、まゆみさんに「一緒に介護しないと命がないと思いな」と殺意をほのめかすような言葉で度々威嚇してくる。
まゆみさんは、一人恐怖心におびえて旦那にSOSを発したが信じてもらえず、あきらめて舅の介護を手伝うことにした。
舅は、脳出血のリハビリを経て自宅に戻ってきたが、食事や洋服を着る時や病院へ付き添う時に歩行困難の時など日常生活のあらゆる場面で介助を要した。
まゆみさんは看護師でケアに慣れているとはいえ、プライベートまで人の世話をしなければいけない環境でメンタルの休まない時期が続いた。
そして舅は4年後、脳出血が再発し近所の精神科病院に入院。今もその状態が続いている。