2023.03.28

急に120万円の出費が…大学受験をナメた45歳母親の「残念な悲劇」

もっと戦略的にやるべきだった

数年前に、筆者が経営する私立文系大学専門のオンライン個別指導塾にやってきた、木村理恵さん(仮名、当時45歳)と一人息子の浩紀君(仮名、当時18歳)。現在では大学生活を謳歌している浩紀君だが、数年前の受験シーズンには総額120万円もの出費を強いられ、木村家は大きく揺れたという。

なぜそこまで費用がかさんでしまったのか。前編記事『エスカレーター式で内部進学し大学受験未経験だった45歳母親が、息子の受験で絶句した理由』に引き続き、解説していく。

結果が出なければ費用はかさむ

前編で紹介した受験料の計算結果は「受験が順調に進んだ場合の金額」であることを忘れてはならない。なかなか合格できなければ、後から追加で中期試験や後期試験への出願が必要になることもあるだろう。そうすれば、また受験校につき3万5000円がかかってしまう。浩紀君の受験の場合も、まさにそのパターンであったようだ。

「息子の出願プランは、今考えれば実力を上回る大学が多く組み込まれた、かなり強気のものでした。私自身は、複数校を受験すればどこかしらに受かるだろうと考えて、2月の前半は息子が志望するままに志望する大学を複数学部受験させたんです。その時点で、当初想定していた予算を越えていました。

しかし残念ながら試験の手応えはなく、結果も不合格が続き、本人も私も焦りが募りました。当初は強気に出願し“前期試験だけで終わらせる”と息巻いていた息子も、現役進学を目指して後期も受験を続けることを決めたんです。

親として息子の進路は確保してあげたかったので、本人的には最も志望度が低いものの、合格していたA大学に入学金を振り込みました」(理恵さん、以下同)

photo by gettyimages
 

受験生の性格や考え方、周囲からのアドバイス次第で、出願戦略は大きく変化する。「行きたくない大学は最初から受験しない」というチャレンジ型もいれば、「確実に合格したい」としっかりポートフォリオを組む安全型もいる。

どの方法が正解とは断定できないが、1つだけ覚えておかなければならないのは、出願時点でのテンションと、受験期または受験終盤のテンションは全く異なるという点である。出願した時点では挑戦意欲が高く、強気な戦略を描いていても、実際に試験の手応えや結果が悪いと人は弱気になっていくものだ。

そのときの自分の精神状態を事前に一度きちんと想像したうえで出願戦略を確定しなければ、理恵さん親子のように対応が後手に回ってしまう。これは誰にでも起こり得ることなのだ。

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