今年でデビュー11年目を迎えた門脇麦。乱交パーティーに参加したり、近所に住む既婚男性を尾行して興奮したり、殺人鬼に憧れていたり、これまで彼女は映画やドラマで「ちょっとヤバい女子」を演じる機会が多かった。そんな印象とは真逆の清々しい正当派ヒロインに挑戦しているのが、WOWOWで3月24日に放送・配信がスタートするドラマ『ながたんと青と -いちかの料理帖-』だ。

老舗料亭の再建を目指す歳の差夫婦のラブストーリーを主軸に、極上の料理が次々と登場する本作。視聴者の胃袋を刺激する“飯テロ”な作品に携わることは、俳優として待ち望んでいた機会だったとか。撮影が無事に終わった今、言葉の節々に充実感をにじませながら見どころを語ってくれた。

連続ドラマW-30『ながたんと青と -いちかの料理帖-』
 

宿泊先のホテルで夜な夜な「切る練習」

ドラマ『ながたんと青と -いちかの料理帖-』は、マンガ誌「Kiss」で連載中の同名マンガが原作。舞台は戦後間もない京都。門脇麦が演じる主人公のいち日は34歳の未亡人で、客離れが進む実家の料亭を立て直すためホテル経営者の御曹司・山口周(作間龍斗・HiHi Jets/ジャニーズJr.)と政略結婚することを決意する。が、その縁談の場で相手側に啖呵を切ってしまう人間臭い一面が役づくりの鍵となった。

「いち日は、基本的に優しくて、暖かくて、清々しい人。でも、たまに感情的になってしまって、うっかり失言をしちゃうこともあって。そういう少し抜けている部分が彼女の魅力的に見えるように演じたいと思っていました。戦争で最初の夫を亡くしていますし、女性が職場で重要な役割を任されにくい時代でもあり、大変な状況で生きているものの、重くなり過ぎないように、いち日の前向きなパワーを表現することで作品をポップに味付けできたらいいなと」

もともと料理が好きだったから、料理人であるいち日を演じるために役づくりで“さしすせそ”から学ぶ必要はなかった。それでも、いち日が愛用する包丁(ながたん)の扱いに慣れるまでには少し時間がかかったという。

「プロが使うような四角くて重い包丁を触るのは初めてだったので、感覚を掴むまでは少し怖かったです。撮影は京都で行なわれたのですが、まな板と包丁をお借りして宿泊先のホテルでも夜な夜な切る練習をしていました」

調理道具だけじゃなく、じつは撮影の“ご褒美”もホテルに持ち帰っていた。

「劇中のレシピは料理研究家の大原千鶴先生が監修してくださっていて、毎回、見た目も華やかだし、味も最高なんですよ。撮影が終わったら夜食用にホテルに持ち帰ったこともあります(笑)。だから料理のシーンは大変ではなく、楽しさしか感じなかったですね。個人的に感銘を受けたレシピはポトフの出汁を使った洋風のうどんです。いち日らしい独創的な料理ですし、本当に美味しいんですよ。いわゆる“飯テロ”な作品ですが、ドラマの中でレシピを紹介しているので、ぜひ視聴者の方々にも挑戦していただきたいです」