2023.03.25
東大の総長が、「東大をめざす高校生」に語った「深いメッセージ」をご存じですか
学生の選抜でたいせつにしていること
まもなく4月、新生活がはじまる時期です。高校や大学に入学して、あるいは、あたらしい仕事場や職場で、気持ちもあらたに勉強に打ち込むという若い人も多いかもしれません。
ところで、わたしたちは勉強をしていると、「アレ、なんのために勉強してるんだっけ?」といった思いにとらわれることが、ときどきあります。自分の勉強がどこにたどりつくのかわからない、何に結実するのかわからない……そんな気持ちです。
そんな迷いを抱いたときには、偉大な知性の手を借りてみるのが一つの手かもしれません。たとえば、日本の知性のトップとも言える東京大学の総長はどのようなことを語っているか。
フランス文学者で作家としても知られる蓮實重彥氏は、1997年4月1日から2001年3月31日まで、東京大学の第26代総長をつとめていました。
「蓮實総長」といえば、入学式・卒業式の式辞がきわめて魅力的であったこと(そして、破格の長さだったこと)が知られていますが、そうした式辞をはじめ、蓮實氏のさまざまな講演やあいさつが収録されている『齟齬の誘惑』という書籍があります。
同書には、氏が『国公立大学ガイドブック(大学案内編)』の平成11年度版(1998年4月)に寄稿した「東京大学をめざす若い男女に」という文章がおさめられています。高校生が読むことを想定していると思しき文章です。
そのなかで蓮實氏は、大学にとって「若さ」とは何かを語ったのち、学生を「選択」する際……すなわち受験生のなかから合格者を選び出す際に、たいせつにしていることを以下のように述べています。