フォーリンラブのバービーさんが芸人として、ひとりの女性として、日頃抱えているモヤモヤと向き合い、自らの言葉で綴っているFRaUweb連載「本音の置き場所」(毎月1回更新)。連載第40回は、バービーさんが大学生時代に付き合っていた彼から「コンドームが外れていたかもしれない」と言われ、セックスに伴う妊娠というリスクに直面した日を振り返ります。その経験を経て、避妊や妊娠・出産に関する日本の現状についても考え、本音を綴っていただきました。
バービー連載10回までが1冊になった初のエッセイ集『本音の置き場所』はこちら
コンドームが外れていたかもしれない
初めて彼氏ができたのは、大学2年生の秋。ひとつ年上の若花田に似た優しい人だった。お互い男女交際は初めて。まさに2人で手探り手まさぐりを繰り返し、セックスを最後まで遂行させるのに七転八起した。
気分転換しようと、当時住んでいたアパートを飛び出して入った定食屋のトイレでパンツに血が付いてるのを確認したときは、「やっと開通したんだね」と2人で喜んだ。あのとき食べたチキン煮は、お母さんには言えないことの後ろめたさと、大人になった達成感で忘れられない味となった。
初体験を二人三脚で乗り越えた彼のおかげか、セックスに悪い印象を持つことはなかった。側から見たら、大学生カップルが光の入らないジメジメした安アパートでお猿さんになっちゃう、あるある話かもしれない。
でも、私から見えていた2人の世界は、光に満ち溢れていて、呆けてしまうほど眩しくて、電撃殺虫器に吸い込まれていく虫のように抗う術がなくなってしまう。初めて生きているってこういうことかと思ったし、彼と彼とする行為が全てだった。
性の喜びというやつを知った私たちは、お猿さんどころか、まるでキングコングのように雄叫びをあげながら淫獣と化した。木造アパートを破壊してしまうのでは、というほどのエネルギーで来る日も来る日も頂上決戦を繰り返した。
あるとき、事件が起こる。「コンドームが外れていたかもしれない」と、彼が言うのだ。キングコングと化していた2人は、一気に冷めて人間に戻った。
このとき、初めてセックスに伴う妊娠という「リスク」が目の前に現れた。
