このままでは重度知的障害と自閉症を持つ妹を「殺してしまう…」「気がつくと妹の上に馬乗りに…」両親のきょうだい間差別に苦しんだ20代長女が出した解決策と母に現れた「救い」

共働き家庭の一般化や、少子化が進んだ昨今。
子どもに無関心過ぎる親、過放任な親、過保護・過干渉な親が散見される一方、下の子や老親の世話、手伝いの範疇を超えた家事労働を強要する親が目につく。こうしたケースの中には、親の意識の有無に関わらず、「子どもは親の所有物」と勘違いしている場合もある。

「あなたは子どもの子どもたる時間や居場所を奪っていませんか」

前編『幸せだった家族の様子は一変…「重度知的障害と自閉症の妹」に甘く、ADHDの自分にはつらく当たる暴力父とネグレクト母に苦悩し続けた20代長女の日々』よりつづく。

関東在住の露木実湖さん(20代・未婚)は、2歳下に重度知的障害と自閉症を持つ次女、9歳下に三女がいる3人姉妹。両親は、露木さんが上の妹から受けた被害を訴えても、「お前が悪い」と露木さんを怒る。そのため露木さんは、「上の妹を“えこひいき”している」と、両親に憤りを感じていた。

やがて露木さんが小学校に上がると、学校では一部の男子からいじめられ、母親に相談しても「気にするな」と一言。やがて下の妹が生まれると、母親は幼い下の妹にかかりきりで露木さんに目もくれない。さらに父親からは、虐待とも思える仕打ちを受け続ける。

下の妹が生まれてからは、あまり母方の祖父母宅に行かなくなり、安らげる場所を失った彼女は、この先どのように成長していくのだろうか。その後の露木さんと母親との関係の変化や、成人後の露木さんの心情を追いたい。

卒業旅行

2016年3月、露木さんが高校を卒業するお祝いに、家族で東京ディズニーランドへ出かけた。もちろん旅行は上の妹も一緒。楽しみにしていた露木さんだったが、旅行中、上の妹が手がつけられなくなるほど喚いて暴れ、他人の目が気になってしまい、心から楽しむことができなかった。

「『私の卒業旅行』なのに、上の妹が翌年に控える、特別支援学校の修学旅行の予行演習になってしまいました。上の妹に明確な不満を持ち始めたのは、この旅行からです」

photo by Yuichiro Chino/Gettyimages
 

上の妹のパニックは年々ひどくなっていく。そのため、上の妹も同行する家族旅行はこの旅行が最後となり、以降は上の妹を母方の祖父母に預けての旅行に。その1年後、家族での外食も難しくなり、上の妹は祖父母宅に預けて行くようになった。

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